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違法建築で通報された場合どうなる?ペナルティや対処法など紹介

違法建築で通報された場合どうなる?ペナルティや対処法など紹介
 

熊本市不動産売却クイック査定です。

 

「違法建築で通報された」という話は珍しくありません。知らず知らずのうちに違法建築を所有し、通報されて初めてその事実を知ったというケースも多く見られます。

 

違法建築であることが発覚すると、どうなってしまうのか不安ですよね。本記事では違法建築とは何か解説したうえで、通報された場合のペナルティや注意点を紹介します。

 

そもそも違法建築とは?

違法建築
違法建築とは違反建築物ともいい、建築基準法など現行の法律に違反して建てられた建物です。以下の項目に該当する場合、違法建築とみなされます。

 

  • 無許可で建てられている
  • 建ぺい率・容積率の違反
  • 斜線規制に違反
  • 無許可で増築
  • 無許可で用途変更
  • 申請とは違う建物
  • 安全基準が満たされていない
  • 防火規制の違反

 

無許可で建てられている

建築基準法上必要な許可を受けていない建物は、違法建築になります。建物を建てる際には、建築主事による必要な検査を受け、その証明を取得することが建築基準法で義務付けられているためです。

 

すべての工事で実施しなければならない検査は建築確認と完了検査で、それぞれの概要は以下のとおりです。

タイミング 証明
建築確認 工事に着手する前 確認済証
完了検査 工事を完了したとき 検査済証

 

なお中間検査という検査も存在しますが、3階以上のRC造(鉄筋コンクリート造)の共同住宅など、大規模な建築物が対象です。

 

これらの検査は、建物利用者や近隣住民の生命や健康、財産を守ることを大きな目的にしています。つまり検査を受けずに建築された建物は、安全性を証明することができません。

 

まずは確認済証と検査済証が手元にあるか確認しましょう。万が一紛失してしまった場合は、役所の建築指導課窓口で台帳記載事項証明書を発行してもらうことが可能です。そもそも検査自体を受けておらず、証明書もない場合は違法建築とみなされます。

 

建ぺい率・容積率の違反

建ぺい率と容積率の上限を超えている場合も、違法建築扱いになります。建ぺい率と容積率とは、敷地面積に対する建物の面積を制限する建築基準法上の規定です。

 

住民の生活環境や安全、地域の調和を守ることを目的として、エリアごとに上限が設定されています。それぞれの計算式は、以下のとおりです。

計算式
建ぺい率 建物面積÷敷地面積×100
容積率 延床面積÷敷地面積×100

 

上限オーバーの建物があると、採光や通風が損なわれたり人口が過密になったりして、都市環境の悪化につながります。

 

特に注意しなければならないのは、増築によって建ぺい率・容積率をオーバーしてしまうケースです。たとえば建ぺい率や容積率に含まれないと思って無許可でカーポートを増築してしまい、違法建築になってしまう例も少なくありません。

 

斜線規制に違反

斜線規制に違反しているという理由で、違法建築だと通報されるケースもあります。斜線規制とは建築基準法規定の一種で、建物の高さを制限するものです。

 

道路境界線または隣地境界線からの距離に応じて、建築物の各部分の高さが制限されます。建物の圧迫感を和らげ、採光や通風を確保することが目的です。

 

斜線制限は、隣地斜線制限、北側斜線制限、道路斜線制限の3種類に分類されます。地域ごとに適用される斜線制限が異なるため、市のホームページなどで確認しましょう。

 

無許可で増築

無許可で増築をおこない、違法建築になってしまうケースもあります。増築や大規模リフォームをおこなう場合も、立地や構造、工事内容に応じて確認申請が必要なケースがあるからです。

 

以下のケースでは確認申請が必要になります。

 

  • 防火地域外・準防火地域外で10㎡を超える増築をおこなう場合
  • 防火地域・準防火地域で増築をおこなう場合
  • 木造3階建て以上・鉄骨2階建て以上で大規模リフォームをおこなう場合

 

10㎡がどのくらいの広さかというと、だいたい駐車場1台分のスペースです。意外と小規模な増築でも、確認申請が必要であることがわかります。最近はDIYリフォームも主流になってきているため、無許可での増築は身近な問題です。

 

無許可で用途変更

既存の建物を用途変更する場合も、許可が必要になるケースがあります。具体的には、変更後の用途が特殊建築物で、かつ変更後の面積が200㎡を超える場合に確認申請が必要です。

 

200㎡はシングルスのテニスコート1面とほぼ同じ大きさになります。大規模な住宅を店舗として使用する場合は、確認申請が必要です。

 

また建築基準法は、建物の用途に応じて適用される規定が変わります。必ず変更後の用途で適法な状態にしておかなければなりません。

 

申請とは違う建物

建物の構造や仕様が確認申請で提出した図面と異なる場合も、建築基準法違反です。このような事象が起きる原因としては、工事中の勝手な計画変更や施行ミスなどが挙げられます。

 

本来であれば工事中に計画変更が発生した場合は、計画変更確認申請を提出しなければなりません。また施行者と設計者の連携が不十分であると、情報が正しく伝達せず申請とは違う建物が建ってしまう可能性があります。

 

よくあるケースを挙げると、以下のとおりです。

 

  • 窓を減らしてしまい採光不良になった
  • 安価な材料に変更し建物性能が低下した
  • 敷地内に収まるはずの庇が隣地境界を超えていた

 

安全基準が満たされていない

建築基準法には、地震や火災などの災害に対する安全性や環境衛生に関する安全基準があります。安全基準の例は以下のとおりで、すべての建築物に適用されます。

基準の内容
建築物の安全性の基準 地震、台風、積雪等に対する基準
火災時の安全性の基準 火災による延焼、倒壊の防止、避難施設の設置等に関する基準
環境衛生に関する基準 居室の採光、換気、給排水設備、衛生設備等に関する基準

 

東京都のホームページでは建築物を安全に建てるためのチェックリストが公開されています。

 

【設計・工事監理の依頼】

  • 設計は建築物に応じた資格を持つ建築士に依頼しましたか?
  • 工事監理は建築物に応じた資格を持つ建築士に依頼しましたか?

【図書の作成・確認申請】

  • 設計図書の内容の説明はありましたか?
  • 設計の委託を受けた旨の書面を建築士事務所から受け取りましたか?
  • 建築確認の申請は行いましたか?
  • 確認済証の交付は受けましたか?

【工事監理】

  • 工事監理の委託を受けた旨の書面を建築士事務所から受け取りましたか?
  • 工事監理報告書の提出はありましたか?
  • 関係図書の提出はありましたか?

【検査】

  • 中間検査が必要かどうか確かめましたか?
  • 中間検査の申請は行いましたか?
  • 中間検査合格証の交付を受けましたか?
  • 完了検査の申請は行いましたか?
  • 検査済証の交付を受けましたか?

出典:東京都都市整備局「建築物を安全に建てるために:チェックリスト(建築基準法)」(https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku_kaihatsu/kenchiku_gyosei/gyosei/kijun/kn_k01/tetudu_7

 

建物を建てる際はこのチェックリストを確認しましょう。実施していないことがあれば、安全に建物を建てられていない可能性があります。

 

防火規制の違反

防火規制とは、火災の被害を防ぐことを目的とした建築物の規制です。建物の設計や使用する材料、設備について、さまざまなルールが定められています。

 

たとえば火災を防ぐために、防火地域や準防火地域などのエリアが指定されています。駅前や幹線道路沿い、建物密集地などで指定されていることが多いです。これらの地域で家を建てる場合は、家の構造や材料に一定の制限が課されます。

 

また防火地域と準防火地域では10㎡以内の小規模な増築であっても、建築確認が必要です。防火規制に従わない場合は火災の危険を排除できないため、違法建築とみなされる可能性があります。

 

違法建築で通報された場合どうなる?

違法建築で通報された場合どうなる?
自宅が現行の法律に従っていない場合、違法建築として通報されるリスクがあります。

 

近隣住民の情報提供により発覚するケースは少なくありません。役所の担当者がパトロールをおこない、違法建築がないか調べている自治体も多いです。

 

では実際に違法建築で通報されると、どうなるのでしょうか。

 

法的措置や費用など発生する

建築基準法9条1項では違反建築物に対する措置が定められています。それによると違法建築だと判断された場合、役所から違反している状態を改善するよう命じられる可能性があります。命令の内容としては、以下の内容です。

 

  • 工事の中止
  • 解体
  • 移転
  • 改築
  • 修繕
  • 模様替え
  • 使用禁止
  • 使用制限

 

工事中止以外の命令については、一定の猶予期間が設けられます。

 

役所からの命令に対して対応が遅れるほど罰則が重くなり、是正費用も高くつくため注意しましょう。決して先送りにせず迅速で適切な対応を行うことが、ダメージを最小限に抑えるポイントです。

 

違法建築物で通報された場合の流れ

違法建築物で通報された場合の流れ

違法建築で通報された場合、役所による措置が段階的に進められます。

 

  • 役所からの指導
  • 緊急対応が必要な工事中の違法建築には工事停止命令
  • さらに行政指導を無視すると行政処分
  • 最終的に行政代執行

 

役所からの指導

通報などにより違法建築の疑いがある建築物が発見されると、まずは役所からの事実確認がおこなわれます。具体的には役所に出向いて話を聞かれたり、現場調査がおこなわれたりします。

 

最初に役所から通知書が送られてくるため、まずはその内容を確認しましょう。通知書には以下の内容が記載されています。

 

  • 役所が違法建築に対して命じようとする措置
  • 役所が違法建築に対して命じようとする理由
  • 意見書の提出先
  • 提出期限

 

通知書を受け取った3日以内であれば、意見書を提出するかわりに、役所で直接意見を聞いてもらう「公開による意見の聴取」を求めることも可能です。自分に有利な証拠を提出することもできるため、もしも合理的な言い分がある場合はこの機会に伝えましょう。

 

なお緊急の必要がある場合、役所はこれらの一連の手続きを踏まずに、仮に使用禁止または使用制限の命令をすることもできます。

 

事実確認によって違反していることが明らかになった場合には、役所による行政指導がおこなわれます。違反の内容や程度に応じて、是正するよう助言、指導、勧告を受けるかたちです。

 

是正費用については、建築主自身が負担しなければなりません。行政指導に従わない場合はさらに拘束力の強い行政処分がおこなわれます。

 

緊急対応が必要な工事中の違法建築には工事停止命令

工事中の違法建築に対しては、建築基準法9条10項に基づき工事停止命令が出される可能性があります。

 

建築基準法9条10項条文

特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて第二項から第六項までに定める手続によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。

出典:e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/

 

役所は以下のような違法建築に対して工事停止命令を出すことが可能です。

 

  • 違反していることが明らかであること
  • 建築、修繕、模様替えの工事中であること
  • 緊急性が高く通知書の送付や意見聴取の手続きをとる時間がないこと

 

施工の停止は、建築主や請負人、現場管理者に対して命ぜられます。もしだれも現場にいないときは作業員に対して命じることも可能です。また役所は電気、ガス、水道事業者に対して供給停止の協力を求めることもできるため、工事は強制的にストップすることになります。

 

さらに行政指導を無視すると行政処分

行政指導を無視した場合は、行政処分が下される流れです。行政指導は任意の協力を前提としていますが、行政処分には法的拘束力があります。従わない場合は罰則が科されるため、注意しましょう。

 

行政処分の具体的な内容としては、工事停止や建物の解体、使用禁止などです。行政指導の段階では違反部分の是正だけで済んでいたものが、行政処分となると建物全体に影響が広がってしまいます。

 

罰則内容は建築基準法98条に定められており、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。また建築士や建設事業者も刑事罰や営業停止、免許の取り消しなど重い処分が下される場合があります。

 

最終的に行政代執行

行政処分にも従わない場合、建築基準法9条12項に基づき、行政代執行がおこなわれます。

 

建築基準法9条12項条文

特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。

出典:e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/

 

行政代執行とは、行政機関が所有者に代わってその義務を履行することです。違法建築の場合は、所有者に代わって役所が建物を解体することを指します。

 

また行政代執行をおこなうには、以下の要件を満たしていることが必要です。

 

  • 他人が代わりにできる行為であること
  • 義務者が命令を受けたのに履行しなかったこと
  • 他の手段によってその履行を確保することが困難であること
  • 不履行を放置することが著しく公益に反すると認められること

 

行政代執行がおこなわれる前に、「履行期限を過ぎると代執行がおこなわれる」旨の勧告があります。期限までに履行しなければ代執行がおこなわれ、建物の解体費用などかかった費用は全額所有者に請求される仕組みです。

 

解体業者を自ら選定することもできないため、費用が高額になる可能性もあるでしょう。支払えない場合は資産の差し押さえとなり、所有者は経済的に大きなダメージを負うことになります。

 

行政代執行は最悪の事態であるため、違法状態を指摘された段階で早めに対応することが肝心です。

 

違法建築の注意点

違法建築の注意点
違法建築を所有している場合、以下の点に注意しなければなりません。

 

  • 売却できない
  • 法的措置のリスク
  • 安全性の不安
  • 周辺住宅の不安
  • 膨大な費用
  • 融資が通らない

 

それぞれの注意点について、詳しく解説します。

 

売却しづらい

違法建築であっても、買い手がいれば売却することは可能です。しかし通常の建物と比べて売却が難しくなります。買いたいという人は非常に限られており、そもそもニーズがないからです。

 

もし売却する場合は、必ず売主は買主にその事実を告知しなければなりません。売主には契約不適合責任があり、引き渡した実物と契約内容が異なる場合、買主から損害賠償や契約解除などを求められる可能性があります。違法建築だと隠して売却することは契約不適合にあたるため、しっかりと買主に事実を伝えてください。

 

また違法建築は売却価格が安くなる点にも注意しましょう。建て替えや増築をおこなう際に制限を受け、使い勝手が悪くなるためです。たとえば容積率をオーバーしている建物でリフォームをおこなう場合、現状よりも面積を減らす必要が出てきます。

 

このようにハードルが高い違法建築の売却ですが、専門の買取業者であれば買い取ってもらえる場合があります。専門の買取業者はリフォームなどをおこない再販することを前提としているため、積極的に買い取れるのです。

 

法的措置のリスク

違法建築を所有している限り、役所から是正を求められる可能性がつきまといます。もし行政指導や行政処分を受けると、違反している部分は是正しなければなりません。

 

違反している部分の内容や範囲にもよりますが、是正には費用がかかります。大規模な是正工事や解体工事が必要になれば、多額の出費は免れません。

 

安全性の不安

違法建築に住み続けるのは、安全性への不安が残ります。建物や構造、設備の欠陥により、通常では起きないような事故が発生するリスクが高まるからです。

 

たとえば地震で倒壊したり、火事で火の周りが早まったりする可能性が考えられます。

 

過去には歌舞伎町にある雑居ビルで火災があり、44名が命を落としました。このビルでは建築基準法と消防法の違反事項があり、利用者が安全に避難できる状態にありませんでした。

 

このように建物の安全性に問題があると、最悪の場合人が死傷してしまうケースも少なくありません。建物の安全管理は所有者の責任であるため、適切な対応が求められます。

 

周辺住宅の不安

近くに違法建築があると、周辺住民も不安に感じます。地震での倒壊や火災の延焼によって、周辺の住宅にも被害を受ける可能性があるからです。

 

また周辺住民の不安は、建物の安全性だけにとどまりません。容積オーバーの建物に対して「採光や通風が阻害されている」など、環境衛生に関する不安もあるでしょう。

 

もし違法建築によって周辺住宅に不利益が発生した場合は、損害賠償を請求されるケースもあります。法律に違反した状態の建物に関しては、保険金の支払い対象外となる場合もあるため注意が必要です。

 

膨大な費用

役所からの法的措置があり違反状態を改善するためには、膨大な費用がかかります。是正工事費用に加え、改善が遅れる場合や手続きが不十分な場合は罰金が科されることもあります。

 

是正命令に従わない場合は最大300万円の罰金を科されることもあります。この金額は多くの人々にとって、いきなり支払える金額ではありません。

 

そのため違法建築を所有している場合は、将来的な是正費用の支払いも念頭に置いておくことが大切です。もし支払いが難しい場合は、売却することで余計な出費を回避できます。

 

融資が通らない

融資が通りにくい点にも注意しなければなりません。コンプライアンスの観点から、違法建築を融資対象から外す金融機関が多いためです。

 

違法建築でも融資してくれる金融機関は一部存在しますが、通常よりも審査が厳しくなるうえに、評価額も低くなります。もし融資を受けられたとしても、希望額よりも少なくなってしまう可能性が高いです。

 

まとめ

違法建築とは、建築基準法など現行の法律に違反して建てられた建物を指します。違法状態になってしまう原因はさまざまですが、容積オーバーや無許可での増築など身近で起こりそうな事例もあります。

 

違法建築で通報されると、役所から連絡があり行政指導を受けなければなりません。無視すると行政処分や行政代執行などさらに重いペナルティを課されます。対処法としては行政指導の段階でただちに是正することが肝心です。

 

もし違法建築に住み続けるのが難しいと感じているのであれば、早めに売却を検討しましょう。さまざまな制約があるため買い手は限られますが、専門の買取業者であれば積極的に買い取ってくれる可能性があります。

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