新築住宅を購入したものの、さまざまな理由で後悔してしまうことがあります。後悔を断ち切る対処法は、早めに売却することです。新築住宅の購入を検討している人は多く、すぐに売れば高値売却も不可能ではありません。
そもそも新築を購入して後悔してしまうのは、どのような理由があるのでしょうか?この記事では新築を購入して後悔する理由と、高く売却する査定方法を紹介します。
目次
新築購入して後悔!すぐ家を売りたい理由とは?
家計状況や生活環境の変化によって、新築の購入を後悔してしまうことがあります。新築住宅に対する期待が大きいほど、後悔は大きいです。後悔の理由としては以下の項目が挙げられます。
- 毎月のローン返済が大変
- 住み心地が悪い
- 立地条件が悪い
- 災害が多い(河川の氾濫など)
- 近隣とのトラブル
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
毎月のローン返済が大変
住宅ローンの返済が困難になってしまい、新築の購入を後悔している人は少なくありません。住宅金融支援機構によれば、2022年のリスク管理債権は3.17%です。つまり住宅ローンを借りている100人のうち、3〜4人は返済に困っていることを意味します。
返済が厳しくなる要因としては、収入減少や急な出費、金利上昇などが考えられます。自分の収入に見合わない無理な借り入れをしていた場合、返済の負担はさらに重くなるでしょう。
住宅ローンの返済が滞ると、金融機関から督促状や催告書が届きます。それでも返済できなければ、次は一括返済を求められる流れです。
さらに滞納が続けば、最終的に自宅を差し押さえられてしまいます。そうなると自分たちが住むことはできません。返済が滞る前に金融機関に相談するなど、早めに手を打つことが大切です。
住み心地が悪い
新築住宅に住んでみると間取りや生活動線が使いづらく、住み心地が悪いと感じる人もいます。毎日生活をする場所なので、住み心地が悪いことは大きなストレスです。
新築住宅の場合、建設工事が完了する前に売る青田売りという販売方法があります。青田売りは完成前に聞いていた仕様や品質と異なるなど、トラブルが起きやすいです。買主は実物を見ないで購入することになるため、住み心地に不満を持つことが少なくありません。
新築住宅を購入すると、モデルルームとのギャップに不満を感じることもあります。たとえばモデルルームよりも安っぽい、狭いといった不満です。モデルルームはハウスメーカーの宣伝用の住宅なので、さまざまなオプションを付け、内装や家具もおしゃれにコーディネートされています。そのため実際に販売している住宅とは差があることがほとんどです。
将来のことをあまり考えずに購入して、後悔してしまうこともあります。新築を購入してすぐに子どもが生まれたり、子どもが一人暮らしを始めたりした場合、間取りと実際の生活がミスマッチを起こしてしまうことが多いです。
立地条件が悪い
新築住宅の立地条件が悪いことが理由で、すぐに売りたいと思っている人もいます。立地条件は生活の利便性や快適性に直結する重要な要素です。
たとえば最寄り駅まで徒歩20分以上かかる場合や、近くにスーパーマーケットがない場合は、日々の生活が不便に感じられるでしょう。子どもがいる家庭は通学時間や通学路の安全性も確認しておかないと、後悔する可能性が高いです。
周辺の治安が悪い場合も、後悔することが多いです。犯罪が頻発しているエリアで、安心して生活することはできません。気軽に出歩けなくなり、生活が制限されてしまいます。
近隣の建物によって快適性が損なわれることも少なくありません。たとえば高層の建物に囲まれていると、日当たりが悪くなることがあります。
災害が多い(河川の氾濫など)
災害リスクが高いエリアの新築住宅を購入してしまい、後悔するケースもあります。災害リスクにはさまざまな種類があり、主な項目を挙げると以下のとおりです。
災害リスク | リスクが高いエリア |
河川の氾濫 | 河川の周辺地域 |
津波 | 沿岸部や海抜の低い地域 |
土砂災害 | 山沿いの地域 |
液状化現象 | 埋立地や沼・池があった地域 |
実際に災害が起こると、居住者の生命が危険にさらされます。さらに建物が傷んだり倒壊したりして、不動産の資産価値が大きく損なわれてしまう可能性が高いです。
国内では近年大雨や土砂災害の発生回数が増加傾向にあり、各地に甚大な被害をもたらしています。自宅が災害が起こりやすいエリアに位置していることに対して、危機感を抱いている人も多いでしょう。
近隣とのトラブル
近隣とのトラブルがきっかけで、新築住宅の住み心地が悪くなるケースもあります。近隣住民とは頻繁に顔を合わせることになるため、ちょっとしたトラブルでも生活に与える影響は大きいです。
最も多い近隣トラブルは、騒音を巡るトラブルです。ペットの飼育や共用部の使い方なども、近隣トラブルの原因として挙げられます。
たとえば子どもの飛び跳ねる音や洗濯機の音などが気になると、生活の質が下がるでしょう。反対にこちらの生活音に関して近隣住民から苦情が来ることもあります。
一度近隣トラブルが起こると、解決するのは容易ではありません。もし和解しても、わだかまりが残ってしまい、居心地が悪くなるケースもあります。
新築購入して後悔したときの対処法
新築を購入して後悔している場合は、以下の対処法を検討してみましょう。
- 新築を売却後に家を購入
- 新築を賃貸にして違う家に住む
それぞれの対処法について詳しく解説します。
新築を売却後に家を購入
一つ目の対処法は、新築住宅を売った資金で他の家に住み替える方法です。
ただし住宅を売却するときは住宅ローンを完済して、抵当権を抹消しなければなりません。そのため住宅の売却資金と住宅ローンの残債の金額によって、売却の難易度が大きく変わります。
住宅ローンの残債≦住宅の売却資金の場合
住宅ローンの残債が住宅の売却資金を下回る状態をアンダーローンといいます。売却資金だけで住宅ローンを完済できることから、住み替えがスムーズです。
住宅ローンの残債>住宅の売却資金の場合
住宅ローンの残債が住宅の売却資金を上回る状態をオーバーローンといい、売却の難易度が高いです。売却資金だけでは住宅ローンを完済できないため、自己資金や別のローンで補う必要があります。特に新築住宅は住宅ローンの残債が減っていないことが多く、オーバーローンになりやすいです。
新築を賃貸にして違う家に住む
二つ目の対処法は、新築住宅を賃貸物件として貸し出し、自分は他の家に住む方法です。
賃貸すれば定期的に家賃収入を得ることができます。また所有権は移さないため、将来自分が住みたくなれば戻ってくることが可能です。
しかし住宅ローンで購入した家を賃貸に出すことは原則できません。住宅ローンは契約者本人が住むことを前提としているからです。本人が住んでいないことがばれると、金融会社の信頼を失い、法的な問題に発展する可能性があります。
そのため家を賃貸するときも、住宅ローンの完済が必要になります。もしくは投資を目的とする不動産投資ローンへの変更するのも一つの手です。いずれにせよ自宅を勝手に賃貸するのはトラブルの元なので、まずは住宅ローンを借りている金融機関に相談しましょう。
新築購入して後悔しても大丈夫!家を高く売却する方法
新築住宅の購入に後悔しても、高く売れればその資金を使って他の家に住み替えられます。家を高く売却する方法は、以下のとおりです。
- 新築で売却する
- 早ければ早いほど高く売れる
- キレイな状態にして売る
- 複数の不動産会社で査定してもらう
新築で売却する
新築住宅として売り出せれば、高く売りやすいです。中古住宅と比べて綺麗な状態で住める新築住宅は、根強い人気があります。
住宅の品質確保の促進等に関する法律によれば、新築住宅の定義は以下のとおりです。
新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
住宅の品質確保の促進等に関する法律第2条2項
つまりまだ誰も住んでいない状態かつ築1年以内であれば、新築として売り出すことができます。まだ引き渡しを受けていない場合や引越ししていない場合は、1日も住まずに売却するのがおすすめです。
早ければ早いほど高く売れる
もし既に自分が新築住宅に住んでいる場合でも、早めに動いた方が高く売れます。不動産は築年数が経過するほど、資産価値が下がっていくためです。
国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によれば、木造戸建て住宅の資産価値は築10年で新築時の半分以下に下がると試算されています。マンションも購入後1〜2年で資産価値が10%程度下落する試算です。高値での売却を希望する場合は、できるだけ早めに売却しましょう。
不動産の繁忙期と閑散期を意識することも、高く売るために重要なポイントです。不動産の繁忙期は年度末の1〜3月で、この時期は引越しを検討する人が多く、売りやすい傾向があります。
キレイな状態にして売る
すでに新築住宅に入居している場合は、掃除や整理整頓をしてから売り出したほうが良いです。購入希望者が内見に訪れる際、第一印象がとても大切になるからです。ゴチャゴチャして汚れている家よりも、清潔ですっきりした家のほうが、購入希望者の購買意欲が高まります。
たとえば汚れが目立つ箇所の掃除をしておくと、見栄えが良くなります。不要な物の断捨離をすれば、部屋を広く見せることも可能です。
自分で掃除をするのが苦手という方は、ハウスクリーニングを依頼するのも手です。プロの技術によって、頑固な汚れや染みついた臭いもキレイになります。
複数の不動産会社で査定してもらう
高く売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。適正な売却価格を設定することが、早期売却への近道になります。
1社だけに査定を依頼しても、適正価格なのか判断できません。複数社に依頼すれば、各社の査定価格を比較することで、適正価格をつかみやすくなります。
一括査定サイトを利用すれば、必要な情報をフォームに入力するだけで査定依頼が完了します。1社ずつ調べて連絡する手間が省けるので、忙しい方におすすめです。
新築を売却するときの注意点
新築住宅を売却するときは、以下の注意点があります。
- 住宅ローンの完済は必須
- 家売却後の税金に注意
次の項目から、それぞれの注意点について詳しく解説します。
住宅ローンの完済は必須
先述のとおり、住宅を売却する際は住宅ローンを完済する必要があります。ローンが残り抵当権が抹消できていない物件は、いつ差し押さえられてもおかしくありません。購入希望者にとって大きなリスクになるため、たとえ売りに出しても敬遠されます。
新築住宅を売却する前に、まずは住宅ローンの残債を確認しましょう。次に不動産会社に査定を依頼し、おおよその売却価格をつかみます。2つの価格を見比べて、売却資金だけで住宅ローンの残債を返せるのか確認することが不可欠です。
家売却後の税金に注意
家の売却にあたっては、税金も含めて予算を立てる必要があります。売却には印紙税と登録免許税がかかります。さらに売却によって利益が出た場合は、譲渡所得税がかかることを覚えておきましょう。
印紙税は課税文書を作成する際にかかる税金です。売主と買主の間で交わす不動産売買契約書は課税文書に該当します。印紙税額は契約金額によって異なり、現在は軽減措置が適用されています。たとえば契約金額が5,000万円を超え1億円以下の場合、軽減措置適用後の印紙税額は3万円です。
登録免許税は登記手続きの際に納める税金です。新築住宅の売却では所有権移転登記や抵当権抹消登記が必要ですが、所有権移転登記の登録免許税は多くの場合買主側で負担します。売主側が負担しなければならないのは、抵当権抹消登記です。抵当権抹消登記の登録免許税は不動産1件につき1,000円かかります。
譲渡所得税は不動産を売却した利益に対してかかる税金です。ここでいう利益とは、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて算出する譲渡所得を指します。
売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得>0円
譲渡所得税には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります。新築住宅の譲渡所得が3,000円以下で一定の条件を満たしていれば、譲渡所得税はかかりません。
新築を売却する方法とは?売却手順を紹介
新築住宅を売却するときは、以下の手順を踏む必要があります。
- いくらで売却できるか?相場を把握する
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社を1社に決める
- 不動産会社と媒介契約
- 売却活動
- 買主が見つかる(売買契約)
- 決済と引き渡し
- 確定申告(売却で利益が出たら)
それぞれの手順で何をしたら良いのか、詳しく見ていきましょう。
いくらで売却できるか?相場を把握する
最初に新築住宅がいくらで売却できそうなのか、おおよその相場を把握します。不動産会社から査定価格を提示されたときに、適正価格か判断できるようにするためです。
相場を把握する際は、国土交通省提供のWEBサイト「不動産情報ライブラリ」が役立ちます。エリアや時期などを絞って、不動産の取引価格や成約価格に関する情報を検索できます。類似事例の取引価格を知ることで、売却物件の価格相場をつかめるでしょう。
不動産流通機構が運営している「レインズマーケットインフォメーション」も過去の取引情報を検索するのに有用です。全国の不動産会社から情報を集めて構築されているため、データ量が多く、売却物件に近い物件の相場を把握できます。
複数の不動産会社に査定を依頼する
相場を把握した後は、いよいよ不動産会社に査定を依頼します。1社だけではなく、複数社にお願いするようにしましょう。複数社から提案を受けることで比較検討ができ、適正価格を見極めやすくなります。会社ごとの強み・弱みを知ることもできるでしょう。
まずは依頼する会社をピックアップするところから始めます。売却実績が豊富で、物件周辺のエリアに詳しい会社を選びましょう。依頼先が多すぎると効率が悪いため、3〜6社程度に絞るのがおすすめです。
各社から査定価格の提示を受けるときは、査定の根拠を詳しく説明してもらいましょう。納得できる説明をしてくれるかどうかで、その会社の査定能力がわかります。
不動産会社を1社に決める
各社から提案を受けたら、不動産会社を1社に決定します。査定能力が高く、信頼できる担当者がいる会社に依頼しましょう。
査定価格の高さだけで不動産会社を選ぶのはおすすめできません。契約を結ぶためにわざと相場よりも高い査定価格を提示する会社も存在します。適正価格で売り出さなければ、売却活動が長引いたり、損をしたりするリスクがあります。
類似物件の売却実績や、担当者の対応などを総合的に判断し、安心して任せられる会社を選ぶことが肝心です。
不動産会社と媒介契約
不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約に基づいて、不動産会社は物件の募集や価格交渉、契約書面の作成などをおこなってくれる仕組みです。
媒介契約には専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があります。それぞれ特徴が異なるため、自分に合った契約を選びましょう。
専属専任媒介契約・専任媒介契約で依頼できるのは1社のみであるため、不動産会社の対応力によって売却に大きな影響が出ます。一方できめ細やかなサポートを受けられるのがメリットです。
一般媒介契約は複数社に売却を依頼できるのが特徴です。それぞれの会社の販売力を活用して広く買主を募ることができますが、一つひとつのやりとりに手間がかかる点に注意しましょう。
売却活動
媒介契約締結後は、不動産会社による売却活動がスタートします。売却活動にはさまざまな手段があり、主要なものを挙げると以下のとおりです。
- レインズに物件を登録する
- 不動産ポータルサイトに物件を登録する
- 住宅情報誌に広告を出す
- インターネットに広告を出す
- チラシを配布する
専属専任媒介契約・専任媒介契約を結んでいる場合は、定期的に売却活動の報告をするのが不動産会社の義務です。一方で一般媒介契約は報告が義務付けられていないため、こちらから報告を求める必要があります。
購入検討者が現れたら、内見を実施します。先述のとおり、内見時の印象によって購入希望者の購買意欲が大きく左右されるため、内見前に家の掃除や整理整頓をおこないましょう。
買主が見つかる(売買契約)
買主が見つかったら、価格交渉をおこないます。そして売買価格や引き渡し時期などの諸条件が固まり次第、売買契約を結ぶ流れです。
仲介を依頼している場合は、不動産会社が売買契約書と重要事項説明書を作成します。売却する物件に関する説明は漏れがないように記載することが重要です。書面の内容にしっかり目を通し、疑問点は納得できるまで確認しましょう。
決済と引き渡し
物件の決済と引き渡しをおこないます。住宅ローンの残債がある人は、ローンを完済したあとに抵当権抹消の手続きが必要です。ローン残債が売却資金を上回るオーバーローンの場合は、不足分を補うための自己資金を用意しておきましょう。
引き渡し後はすみやかに所有権移転登記の手続きもおこないます。手続きは自分たちでもできますが、ミスがあると大変なので司法書士に依頼することが多いです。
確定申告(売却で利益が出たら)
新築住宅の売却で利益(譲渡所得)が出たら、確定申告をしなければなりません。その利益に対して譲渡所得税が課税されるためです。
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の適用を受けられれば、譲渡所得税を大幅に減らせますが、そのためには確定申告が必要になります。
新築住宅の売却で赤字が発生した場合は、譲渡所得税は課税されません。したがって基本的には確定申告は不要です。
しかし一定の条件を満たす場合は、他の所得と相殺したり、損失を翌年以降に繰り越したりできる「譲渡損失の損益通算及び繰越控除特例」の適用対象になります。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除には、以下の2種類があります。
- 居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
- 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
「居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」は、マイホームを買い換えた場合に適用されます。「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」はローン残債を下回る価格で売却し、損失が出た場合に適用できる特例です。
どちらも給与所得など他の所得と相殺でき、相殺しきれなかった分は翌年以降3年にわたって繰越可能です。これらの特例についても、適用を受けるためには確定申告が必要になります。
【まとめ】
家計状況や生活環境が想定と違い、新築住宅の購入を悔やむ人は少なくありません。しかし売却したり賃貸したりすれば、新たな家で再スタートを切ることが可能です。
新築住宅を売却するときは、早ければ早いほど高値で売却できます。また内見前に清掃や整理整頓をするだけでも、購入希望者の物件に対する印象は良くなります。
売却にあたっては住宅ローンを完済しなければなりません。売却資金だけで住宅ローンを完済できるのか、不足する場合は自己資金を用意できるのか、資金計画については事前に確認が必要です。
売却するかどうか迷っているのであれば、まずは不動産会社に査定を依頼してみましょう。