部屋探しをしていて「定期借家」という言葉を目にした経験はありませんか?日常生活ではなかなか使用しない言葉であるため、「読み方がわからない」「意味がわからない」という方も少なくありません。建物の賃貸契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。それぞれの意味を理解しておけば、物件選びの選択肢が広がるため知っておいて損はないでしょう。
そこで今回は、定期借家の読み方や意味、定期借家が導入された理由、定期借家のメリット・デメリット、普通借家との違いなどについて詳しく解説します。
目次
定期借家の「読み方」や「意味」を紹介

ここでは、定期借家の読み方と意味について解説します。
定期借家の「読み方」
定期借家は、「ていきしゃっか」と読みます。初めて読む方は「ていきしゃくや」と読み間違えやすいですが、正しくは「ていきしゃっか」であるため注意しましょう。
定期借家契約とは?「意味」を紹介
定期借家契約は、期間に定めのある賃貸借契約のことで、契約期間の満了に伴って契約が終了します。つまり、普通借家契約のような更新はありません。たとえば、契約期間1年の定期借家契約をしたら、借主は1年後に退去しなければいけません。では仮に、借主が「もう一年借りたい」となった場合は、どうなるのでしょうか。この場合、貸主と協議して合意が得られれば再契約することが可能です。
しかし、貸主の合意が得られなければ再契約できないため、1年後に退去しなくてはなりません。このように、定期借家契約は貸主に決定権があるというのが大きな特徴です。なお、定期借家の契約期間には制限が設けられていないため、1年未満や2年以上という契約も有効です。
定期借家は2000年から導入された!その理由とは?

定期借家制度は、2003年3月1日に施工された比較的新しい仕組みです。ではなぜ、定期借家制度が導入されたのか、その背景には以下のような理由があります。
- 貸主の不安を解消する
- 賃貸物件の多様化と流動性向上
普通借家制度は、借主の契約更新の要望を貸主が拒否することはできません。これは、貸主側にとって、とても心理的負担が大きいものです。さらに、マナーを守らない入居者に居座られたり、多額の立ち退き料を支払って退去してもらったり、貸主には多くのリスクがありました。こうした問題を解消し、貸主が安心して物件を貸し出しできるよう定期借家制度は導入されました。貸主の負担が減ることで、より多くの良質な物件が市場に供給されます。また、柔軟な賃貸借契約の整備により、短期利用など多様なニーズに対応しやすくなったと言えるでしょう。
定期借家契約するメリットを紹介

定期借家契約にはメリット・デメリットがあります。人によってはメリットに魅力を感じて契約する方もいるでしょう。まずは、定期借家契約のメリットから紹介します。
- 短期契約ができる
- 物件の選択肢が広がる
- 費用が抑えられる
項目ごとに解説します。
短期契約ができる
最初に紹介するメリットは、「短期契約ができる」ことです。普通借家契約の場合は2年契約が一般的ですが、定期借家契約は貸主が自由に契約期間を設定できます。そのため、1年未満の短期契約も可能です。短期間の契約はデメリットのように感じる方もいるかもしれませんが、何らか理由で少しの期間だけ借りたいという方には最適です。
物件の選択肢が広がる
2つ目のメリットは、「物件の選択肢が広がる」ことです。定期借家の物件を「なんとなく」という理由で避けている方もいるでしょう。しかし、あらかじめ定期借家の特徴を理解していれば借りやすくなり、状況に合わせた選択ができるようになります。
費用が抑えられる
定期借家の物件は、築年数が浅い物件や戸建ての賃貸なども多く、比較的家賃が安く設定されています。また、更新料が発生しないため、長期で住む場合と比較して総支払額を抑えることができます。物件によっては敷金・礼金が必要ない物件のあるため、初期費用を抑えつつ短期で入居したいという方にはぴったりでしょう。
定期借家契約するデメリットを紹介

次に、定期借家契約をするデメリットを紹介します。契約前にあらかじめデメリットを理解しておくことで、「こんなはずじゃなかった」という思いがけないトラブルを防ぐことができます。デメリットは以下の3つです。
- 再契約できない可能性がある
- 原則として中途解約ができない
- 再契約時に家賃が値上げする可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
再契約できない可能性がある
定期借家契約は、貸主側の都合で契約期間が決まっています。そのため、借主側が「もっと長く住みたい」と思っていても再契約できない可能性があります。長期的に居住するつもりで借りてしまうと、想定外の退去や引っ越し費用が必要になるため注意が必要です。ただし、貸主と合意が取れた場合は、契約期間を更新したり、再契約したりできるケースもあります。
原則として中途解約ができない
定期借家契約では、契約期間中の解約が原則認められていません。仮に、入居後に状況が変わっても契約終了まで住み続ける必要があります。ただし、床面積200㎡未満の物件では、転勤、介護、療養など、やむを得ない事情がある場合には解約が認められるケースもあります。法律上のやむを得ない事情に該当する場合、借主は1ヶ月前に貸主への通知が必要であり、通知すれば貸主の「承諾」は必須ではありません。
再契約時に家賃が値上げする可能性がある
定期借家契約では、従前の契約と再契約は別物となるため、契約内容が大幅に変わる可能性があります。たとえば、これまでは家賃10万円で借りられていた部屋が、再契約後は家賃15万円に値上げされたというケースもあります。貸主が家賃を大幅に変更することは自由であり、借主が再契約後の家賃に応じることができなければ賃貸契約は終了となります。
また、再契約後は定期借家契約の期間を短くすることも可能です。このように、貸主都合で借主が不利な状況になる点はデメリットと感じる方もいるでしょう。
「定期借家」と「普通借家」の違いとは?

定期借家と普通借家には、以下のような違いがあります。
- 契約方法と契約期間
- 中途解約と更新の可否
- 賃料の増減額請求権
- 通知義務
項目ごとに解説します。
契約方法と契約期間
定期借家契約は、公正証書などの書面で行うことが必須条件です。これは、制度の濫用を防ぎ、借主を保護することを目的としています。また、契約内容の明確化と証拠力・執行力を高め、トラブルを未然に防ぐ効果があります。契約期間は貸主が自由に決めることができますが、書面には「契約の更新はなく期間の満了とともに契約終了」の旨を記載し、説明をしなければいけません。一方、普通借家契約は口頭契約も可能です。ただし、契約期間は1年以上で設定する必要があります。
中途解約と再契約の可否
先にお伝えしたように、定期借家契約は期間満了によって契約が終了するため、契約更新はありません。また、貸主からの中途解約も不可となっています。ただし、貸主と借主、双方の合意があれば再契約可能です。一方、普通借家契約は借主が希望すれば、契約を更新して住み続けることができます。貸主側からの中途解約は、正当事由がない限り認められず、万が一正当事由があっても立ち退き費用が発生するケースが多いです。
賃料の増減額請求権
賃料の増額請求権とは、現在支払っている賃料が相場と比較して不相当になった場合、貸主に対して家賃の減額・増額を請求できる権利です。そもそも賃貸物件は、景気動向や需要供給のバランスによって賃料が変動します。そのため、同じ物件に長く住んでいると、入居時の家賃が相場と合わなくなってくることがあるのです。定期借家契約も普通借家契約も、原則として賃料の増減額請求が認められています。
ただし、定期借家契約は賃料の増減額請求権を排除する特約を定めることが可能です。一方、普通借家契約は賃料の増減額請求権を排除する特約は無効ですが、家賃を増額しないことについての特約のみ認められます。
通知義務
定期借家契約は、契約期間が1年以上の場合のみ、期間満了の6ヶ月前までに貸主側から契約終了の旨を通知する義務があります。これを怠ると、契約終了を借主に主張できず、事実上更新されてしまう可能性があります。なお、1年未満の契約では通知義務はありません。また、普通借家契約にも通知義務はありません。
定期借家物件を契約する際のポイント

定期借家物件を借りる際は、契約書に以下のポイントが記載されているかチェックしましょう。
- 定期借家契約であることが明記されているか
- 借主側からの中途解約ができるか
- 再契約の可否
契約書に「更新がなく期間の満了により終了する」ことの記載があるか、書面で説明を受けたかを確認しておきましょう。これらの記載がなく説明も不十分な場合は、特約が無効となり、通常の普通借家契約として扱われる可能性があります。合わせて、契約期間や借主側からの中途解約に関する事項、再契約の可否についても確認しておくと安心です。再契約が可能な場合は、再契約時の金額や流れなどについて相談しておくと再契約への不安が軽減するでしょう。
まとめ
今回は、定期借家契約の読み方や普通借家契約との違いなどについて解説しました。定期借家契約は貸主保護を目的とした制度で、読み方は、「ていきしゃっかけいやく」です。「ていきしゃくや」と読み間違えやすいため注意しましょう。また、定期借家契約は原則更新ができません。更新できないことはデメリットに感じるかもしれませんが、状況によってはメリットになることもあります。
そのため、更新できないというイメージだけで敬遠するのではなく、自身の状況と照らし合わせながら考えることで択肢を広げることができるでしょう。
定期借家契約と普通借家契約との違いは、契約方法や更新期間、中途解約の可否、賃料の増減額請求権、通知義務などがあります。あらかじめ理解しておくことで想定外の事態を防ぐことができるでしょう。さらに、契約時には「更新がなく期間の満了により終了する」旨の記載や「借主側からの中途解約の可否」を確認しておくとより安心安全に契約することができます。



























