「中古マンションを購入するなら、なるべく築浅の物件がいい」そう考える方は多いのではないでしょうか?中古マンションは新築よりも価格が安い傾向があり、なおかつ築浅であれば設備も新しくて、お得に感じますよね。
しかし、「築浅」というキーワードだけに飛びついてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうことも。本記事では築浅でも避けたほうがいい中古物件の特徴を中心にご紹介します。「中古物件選びに失敗したくない」という方は、ぜひ本記事の内容をチェックしてみてください。
築浅物件とは?

築浅物件とは、できてから間もない中古物件のことです。「築年数が浅い」という言葉を略して、築浅と呼ばれています。
中古マンションの中でも、築浅物件は人気があります。設備が比較的新しい物件が多く、新築よりも価格を抑えやすいためです。
築浅物件について
実際のところ、築浅=築〇年以内というはっきりとした定義は、存在しません。築何年を築浅とするかどうかは、不動産会社の判断によって分かれます。
一般的には、築5年以内とされることが多いです。しかし一方で、築10年でも築浅として扱われるケースもあります。
広告や物件情報に記載されている「築浅」という言葉だけに踊らされるのではなく、築年数がいつなのか、しっかりと確認することが大切です。
築浅の中古物件(マンション)が売却されるのはなぜ?
築浅物件は設備が新しく、見た目も綺麗です。高値が付きやすいため、売却のハードルが低い傾向があります。
築浅の中古物件が売却される背景には、さまざまな事情があります。主な売却理由を挙げると、以下のとおりです。
- ライフスタイルや家族構成の変化
- 住宅ローンの返済が厳しくなった
- 周辺環境や間取りが合わなかった
特に注意したいのは、3つ目の「周辺環境や間取りが合わなかった」ケースです。売主が実際に住んでみた結果、騒音や日当たり、動線の不便さなどがストレスとなり、住み心地に不満を感じて売却に至ることがあります。
このような物件を購入すると、自分自身も売主と同じような不満を抱えてしまい、長く住めなくなる恐れがあります。後悔を防ぐためにも、売主に売却理由を確認するようにしましょう。売主に直接聞きづらい場合は、仲介に入っている不動産会社を通して質問してもらうのも手です。
築浅でも避けた方がいい物件とは?

売主に売却理由を尋ねても、必ずしも物件のネックが明確になるとは限りません。さらに、住み心地の良し悪しは人によって感じ方が異なるため、物件選びではさまざまな視点からチェックすることが肝心です。
築浅でも避けたほうがいい物件の特徴は、以下のとおりです。
- 相場よりも高い
- 事故物件
- 駐車場がない
- 線路沿いにある
- 墓地が近くにある
- 陽当たりが悪い
- 駅が遠い
それぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。
相場よりも高い
物件価格が相場よりも明らかに高い場合、築浅であっても損をしてしまうリスクがあります。もちろん、築年数が浅いことを理由に割高な価格設定になっている場合も多いのですが、築浅だけを売りにしすぎて立地や設備が相場に見合っていないことも。
相場より割高な価格で買ってしまうと、資産価値が下がりやすいです。仮に自分が売却するとなれば、その時点でさらに築年数が経過しているため、相場と同等の価格で売り出すと購入価格>売却価格となってしまい、売却損が出ます。
また、高額な住宅ローンを組むことで、返済負担が増し、生活のゆとりがなくなることも。「築浅だから」と安易に受け入れるのではなく、まずは周辺の取引事例や類似条件の売り出し物件と比較し、本当に妥当な価格なのかを確かめましょう。
事故物件
事故物件とは、過去に他殺や自殺などの理由で、人が亡くなった物件を指します。法律上の明確な定義は存在しないのですが、不動産取引では「その事実を知っていたら契約しなかった」と判断される事案があった場合、心理的瑕疵物件として扱われます。
自分が住む場合に抵抗がなければ、生活に支障はないかもしれません。ただし、将来的に賃貸や売却を考えている場合は、心理的な抵抗感から入居者が集まりにくい傾向があります。
心理的な要因は人によって受け止め方は異なりますが、物件の資産性を重視するのであれば避けたほうが良いでしょう。売主や仲介会社に告知義務が果たされているかを確認し、過去の履歴を調べることが大切です。
駐車場がない
中古マンションを選ぶ際に、意外と見落としがちなのが駐車場です。公共交通のアクセスが良好な都心の物件であれば大きな問題はありませんが、郊外の物件で駐車場がないのは致命的です。
結果として敷地外の駐車場を別で契約しなければならず、不便な生活を強いられることになるからです。駐車場料金の負担もかさみますし、売却する場合も資産価値の維持が難しくなります。
いくら築浅で設備が整っていても、駐車場がない物件は長期的な目線で見ると不利になることが多いため、慎重に検討したほうが良いでしょう。
線路沿いにある
線路沿いの築浅物件は、騒音や振動が大きなネックになることがあります。電車や踏切の音は窓を閉めていても、どうしても気になってしまう場合もあるでしょう。
早朝・夜間も騒音が続けば、睡眠の質も下がり、体を壊してしまいます。特に音に敏感な人には、線路沿いの物件はおすすめしません。
また振動による不快感や、建物への影響も懸念されます。売却や賃貸に出す場合も、線路沿いの物件は敬遠されやすいです。
もし気になっている物件が線路沿いに立地している場合は、時間帯を変えて内見に行き、騒音や振動を体感してみることが重要です。
墓地が近くにある
墓地が近くにある物件は、静かで落ち着いた環境であることが多いですが、中には心理的な抵抗感・恐怖感を抱く方もいます。また、お墓は嫌悪施設に該当するため、不動産売却時の重要事項説明で買主へ共有することが求められます。
市場では敬遠されがちなため、売却や賃貸で不利になることがあります。お墓が持つマイナスイメージによって、市場相場よりも価格が落ちることも少なくありません。
気になる場合は仲介会社に確認してみるのはもちろん、内見時はすべての窓を開けてみて、墓地が近くにないか確認しておきましょう。
日当たりが悪い
日当たりが悪い物件は、住み心地が損なわれるだけでなく、さまざまな面で悪影響があります。日照が不足することで、室内に湿気がこもりやすくなり、カビが生えやすくなります。そうなれば、建物の腐朽につながりかねません。
また、冬場は室温が下がりやすく、暖房費がかさむなど経済的な負担も増えます。心理的にも、自然光が少ない環境は気分が沈みやすく、居住者の満足度を下げる要因となります。
日当たりの悪さは、周辺の建物との関係性によって発生するものなので、単独で改善するのは難しいです。購入前に現地を複数の時間帯で確認し、周辺建物の影響や季節による日照条件を把握しておくと良いでしょう。
駅が遠い
駅から遠い立地は利便性に欠けるため、日常生活に不便を感じやすいのが難点です。通勤・通学に時間がかかるだけでなく、買い物や外出などちょっとした移動も負担が大きくなります。
特に都市部では駅からの距離が、物件の資産性に大きな影響をおよぼします。立地条件は変えられません。「今は駅から遠くても問題ない」という方も、子どもが生まれたり、高齢になったりしたときに移動が大変になることも考えられます。
内見に行く際は、物件から駅まで自分の足で歩いてみて、距離や周辺環境を自分の感覚で確かめることが大切です。長期的な視点で見て、不便がないかどうかを確認するようにしましょう。
築浅物件を購入するメリット

築浅物件を購入するメリットは、物件が比較的新しく清潔でありながら、新築よりも手頃な価格で取得できる点です。
「新築は予算的に難しいけれど、築年数が経った物件は使用感が気になる」という方にとって、築浅物件はちょうど良い選択肢といえるでしょう。
ここからは築浅物件を購入するメリットについて解説します。
物件がキレイ
築浅物件は建物がまだ新しく、築古物件よりも室内や設備の使用感が少なめです。壁や床の傷みも少なく、水回りも清潔で快適に使える状態が保たれています。
新築同様の住み心地を得られるため、入居後すぐにリフォームや修繕を行う必要がなく、そのままの状態で安心して生活を始められる点が大きな魅力です。
新築より安い
築浅物件は新築に比べて価格が抑えられていることが多く、予算に限りがある方でも手が届きやすいのがメリットです。
建物の状態は良好でありながら、購入価格を抑えられるため、コストパフォーマンスに優れています。築浅物件は、まさに新築と中古の良いところを兼ね備えた選択肢といえるでしょう。
築浅物件(中古住宅)を購入するデメリット・注意点

築浅物件が築浅物件でいられる期間が限られているため、物件数が少なく、需要と供給の関係で価格が高くなりやすいなどのデメリットがあります。
また、新築と中古では住宅ローン控除の適用条件が異なるため、違いを理解した上で築浅を選ぶことが大切です。
売りに出される物件が少ない
築浅物件は市場に出回る数が非常に限られています。そもそも築浅と呼べる期間は、非常に短いです。その上、売却されるタイミングは所有者のライフイベントや転勤など特殊な事情によることが多いため、常に豊富に流通しているわけではありません。
物件が少ないということは、希望エリアや希望条件が固まっている方にとっては、それを満たす築浅物件を見つけるのがなおさら難しくなるということ。人気エリアでは購入希望者が集中しやすく、競争が激しくなる傾向があります。
そのため、じっくり比較検討することがないまま、妥協して購入してしまうケースも。築浅物件を狙う場合は条件の優先順位を整理して、早めに情報収集することが重要です。
中古物件の中では価格が高い
築年数が浅い物件ほど、価格が割高になりやすい傾向があります。新築よりは安いものの、築10年以上の物件と比べると高めの価格設定が多く、コストパフォーマンスを考えたときに見劣りする可能性があります。
なぜ築浅物件が高いかというと、「新築から間もない」という心理的な安心感から需要が集中しやすいため。ライバルが多くなれば、さらに価格が上昇することもあります。
住宅ローン控除の問題
築浅物件の多くは「既存住宅」として扱われるため、住宅ローン控除を利用する際には新築よりも条件が厳しくなることが多い点に注意が必要です。
住宅ローン控除とは、ローン残高の一定割合を所得税から差し引ける制度ですが、新築住宅では最大13年間の控除が受けられるケースがある一方、既存住宅では原則10年に制限されます。
さらに、借入限度額も新築より低く設定されている項目が多く、同じローン残高でも減税額が小さくなる傾向があります。
ただし例外もあり、不動産会社がリフォームして再販する「買取再販住宅」は控除期間が13年に延長されます。また、省エネ基準を満たさない新築住宅はそもそも住宅ローン控除の対象外となるため、築浅物件であっても条件次第では新築より有利に減税を受けられるケースもあります。
つまり、築浅物件を選ぶ際には「既存住宅扱い」という不利な側面だけでなく、制度の適用条件を確認することで、思わぬメリットを享受できる可能性があるのです。
失敗しない築浅物件の選び方

マンションの購入は大きな費用がかかるため、できる限り後悔のない選択をしたいものです。特に築浅物件は人気が高く、購入希望者が多いため、焦って購入してしまいがち。そうならないように、物件選びでは慎重さが求められます。
以下のポイントを意識して物件を選ぶと、失敗を避けやすくなります。
- 相場をチェック
- 実際に周辺を歩いて調べる
- 契約書を確認する
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
相場をチェック
築浅物件が適切な価格で売り出されているかどうかは、周辺相場を見ればすぐにわかります。逆に相場を知らずに購入すると、後々売却や賃貸に出すときに資産価値が下がりやすく、損失につながることも。
相場の調べ方は、不動産ポータルサイトや公的な取引事例データベースの活用がおすすめです。エリア・築年数・間取りが同じような物件に絞り込んで、客観的な価格帯を把握できます。
相場をしっかり理解しておけば、提示された価格が妥当かどうかを冷静に判断でき、安心して購入に踏み切ることができます。
実際に周辺を歩いて調べる
建物と同じくらい、物件の住み心地を左右するのが、周辺環境です。地図アプリや人の話だけではわからないことも多いため、かならず自分の足で周辺を歩いてみましょう。
昼と夜、平日と休日など時間帯を変えて訪れることで、騒音や人通り、治安の雰囲気を把握できます。スーパーや病院、学校など、日常的によく利用する施設が近くにあるかどうかもチェックしておきたいポイントです。
また、線路や幹線道路が近いと、騒音に悩まされることも。墓場や工場が近いと、心理的な抵抗感や環境面の不安につながることもあります。
契約書を確認する
契約書には売買代金や引渡し条件だけでなく、物件の権利関係、管理規約、修繕積立金の額や支払い方法など、将来の生活に直結する情報が記載されています。
特に注意すべきは、物件の契約不適合責任やアフターサービスの範囲です。築浅物件であっても、売主や施工会社の保証期間がどこまで残っているかによって、万一の不具合発生時の対応が変わります。
また、管理組合の規約や修繕計画を確認することで、将来的な費用負担や住環境の維持に関する見通しを立てることができます。
不明点や不安がある場合は、必ず仲介会社や司法書士など専門家に確認し、納得したうえで契約を進めることが、後悔のない購入につながります。
まとめ
築浅物件は、できてから間もない中古物件です。設備が比較的新しい物件が多く、新築よりも価格を抑えやすいため、人気があります。
市場に出回る物件数が非常に少ないため希少性が高く、需要が集中することで相場より割高に売り出されるケースも少なくありません。競合が多いとつい焦ってしまいがちですが、物件の条件や価格を冷静に見極めることが、後悔のない購入につながります。
そのためには、周辺の相場を確認すること、実際に周辺環境を歩いて確かめること、そして契約書の内容を丁寧に確認すること。こうした一つひとつのチェックを怠らない姿勢こそが、安心して暮らせる築浅物件選びのポイントです。



























