熊本市不動産売却クイック査定です。
物件選びをするとき、「軽量鉄骨造」のアパートを見かけたことがある方も多いでしょう。鉄骨という名前から、木造よりも防音性が高く頑丈なイメージを持つ方もいるかもしれません。ところが、木造ともコンクリート造とも異なる軽量鉄骨には注意すべき点やデメリットがあります。そこで今回の記事では、軽量鉄骨アパートはやめとけと言われる理由や軽量鉄骨のメリット、後悔しない軽量鉄骨アパートの選び方などについて解説します。
目次
そもそも軽量鉄骨とは?
軽量鉄骨とは、建築における構造様式の一つで、骨組み部分に鉄骨を使用した建物のことを指します。他にも、日本では木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造があります。この中でアパートに用いられるのは、木造や軽量鉄骨です。
また、軽量鉄骨に似た構造で「重量鉄骨」もありますが、これらの違いは使用する鉄骨の厚みです。厚さ6ミリ以下を軽量鉄骨、厚さ6ミリ以上を重量鉄骨と定義しています。鉄骨の厚みが出る分、重量鉄骨の方が強度は高く、高層マンションや高層ビルの建築に使用されます。
軽量鉄骨アパートはデメリット!やめとけと言われる理由とは?
部屋探しをしていると、「軽量鉄骨のアパートはやめておけ!」と言われることがあります。ではなぜ、軽量鉄骨アパートは敬遠されるのでしょうか。ここでは、軽量鉄骨アパートはやめておけと言われる以下の5つの理由について解説します。
- 騒音問題(防音性能がよくない)
- 断熱性や通気性が悪い
- 間取りに問題がある
- 固定資産税の評価が高い(下がりにくい)
- サビ対策が必要
それぞれの具体的な内容について解説します。
騒音問題(防音性能がよくない)
鉄骨造と聞くと、「防音性が高い」というイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし実際は、木造と軽量鉄骨の防音性はほとんど変わらないと言われています。そもそも、軽量鉄骨造のアパートで鉄骨が使用されるのは「柱や梁」の部分です。防音性に関わるのはあくまでも「床と壁」であるため、軽量鉄骨だからといって防音性が高くなることはあまり期待できません。そのため、木造アパートと同様に隣の部屋の話し声が聞こえたり、上の階の足音が響いたりする可能性が高いため注意が必要です。
断熱性や通気性が悪い
軽量鉄骨の物件は、調湿・吸湿機能がないため、室内の温度や湿度が外気からの影響を受けやすいというデメリットがあります。そのため「夏は暑く、冬は寒い」という住環境になりがちです。そのため生活する中で、断熱性や通気性を確保する工夫が必要になるでしょう。ただし、夏場にエアコンを使いすぎると結露の原因になったり、電気代が高騰したりする可能性があるため注意が必要です。
間取りに問題がある
軽量鉄骨の建物は、プレハブ工法で施工されることが一般的です。プレハブ工法とは、建物の床や壁、天井などをあらかじめ工場で規格化して現場で組み立てる建築工法のこと。つまり、部材を工場で大量生産すためコストを抑えて、短い期間でアパートを建築することができるのです。その一方で、間取りの自由度が低く、同じような間取りの物件が多くなるケースも少なくありません。
固定資産税の評価が高い(下がりにくい)
建物を所有していると、毎年固定資産税を支払わなくてはなりません。固定資産税とは、土地や家屋を所有している人が毎年支払う税金で、その年の1月1日時点での建物評価額に基づいて計算されます。一般的に、築年数が経過するにつれて建物評価額が下がるため、固定資産税は安くなっていく傾向です。
しかし、軽量鉄骨は木造住宅に比べて耐久性が高いため、築年数が経過しても価値が大きく低下することはありません。結果として、毎年支払う税金が高額になりやすいというデメリットがあります。ただし、固定資産税についてはオーナーや家主側のデメリットであるため、貸主にはほとんどデメリットにならないでしょう。
サビ対策が必要
鉄骨は塩害や湿気によって錆びやすいため、アパートの立地によっては定期的なメンテナンスが欠かせません。実際に海沿いに住む人からは、鍵穴が錆びついて鍵が抜けなくなった、ベランダの鉄骨が錆びていて危ないなどの声もあります。しかし、鉄骨のサビは目に見える部分だけでなく、目に見えない内部(構造)でも劣化が進行しています。これらの被害を防ぐためには、鉄骨に防錆塗装を施したり、錆びにくい素材で覆ったりする工夫が必要になるでしょう。
軽量鉄骨のメリットについて
ここまで、軽量鉄骨デメリットについて紹介しましたが、軽量鉄骨にも多くのメリットがあります。メリット・デメリットの両方を把握して、住まい選びの参考に役立てましょう。軽量鉄骨のメリットは以下の5つです。
- 欠陥が少ない
- 耐用年数が長い
- 耐震性が優れている
- 家賃が安い
- 火災に強い
順番に見ていきましょう。
欠陥が少ない
先にお伝えしたように、軽量鉄骨はプレハブ工法で建築されています。プレハブ工法は職人の腕に左右されないため、建物の品質が安定しています。また、建材が気候によって変形したり、変化したりする心配が少ないため欠陥が発生しにくいというメリットがあります。
耐用年数が長い
建物は構造別に耐用年数が定められていますが、軽量鉄骨は木造住宅に比べて耐用年数が長いのもメリットと言えます。軽量鉄骨の場合、鋼材の厚みによって以下のように法定耐用年数が異なります。なお、木造住宅の耐用年数は約22年です。
鋼材の厚み | 法定耐用年数 |
---|---|
3ミリ以下 | 19年 | 27年 | 34年 |
現代は建築技術が進化し続けているため、適切にメンテナンスを行うことで実際の建物寿命はより長くすることができます。また、鉄骨造は木造住宅のようにシロアリ被害に悩まされることがないのも大きなメリットと言えるでしょう。
耐震性が優れている
軽量鉄骨は、名前の通り軽量であり、さらに柔軟性があります。地震の揺れに対しても柔軟に対応するため、木造に比べて倒壊しにくいと言われています。地震大国である日本では、耐震性に優れているのは大きなメリットとなるでしょう。また、鉄骨はどの部分も同じ強度を持つため、木材のように場所によって強度が異なるという心配もありません。
家賃が安い
軽量鉄骨のアパートは、プレハブ工法によって建築コストが抑えられているため、家賃が安く設定されています。「なるべく家賃を抑えたい」と考えている方は、軽量鉄骨の物件に注目してみるのもおすすめです。木造アパートよりも耐震性に優れ、丈夫な構造であるため日々の安心感にも繋がるでしょう。
火災に強い
軽量鉄骨は木造に比べて火災に強いと言われています。木材は一度火がついてしまうと燃え広がりやすく、全焼してしまう可能性があります。一方、鉄骨造は高温になると強度が低下し変形してしまうものの、鉄骨自体が燃えることはありません。しかし、軽量鉄骨でも倒壊のリスクはあるため注意が必要です。
後悔しない軽量鉄骨アパートの選び方
軽量鉄骨アパートへの引っ越しを検討している方は、事前に下調べしておくことをおすすめします。また、内見時のチェックポイントも紹介しますので、物件選びの参考にしてください。ここでは、後悔しない軽量鉄骨アパートの選び方について解説します。
- 騒音トラブルなど不動産会社に聞く
- 壁を叩いてチェック
- 静かな環境を選ぶ
- 新しい物件を選ぶ(10年以内)
- 共用部をチェック
それぞれの具体的な内容について見ていきましょう。
騒音トラブルなど不動産会社に聞く
気になる物件が見つかったら、過去の騒音トラブルや近隣住民のトラブルについて不動産会社に聞いてみましょう。親切な不動産会社は、上下左右にどんな人が住んでいるのか、物件に暮らす人の年齢層などを教えてくれるでしょう。万が一過去に騒音トラブルがあったり、前入居者が短期間で退去したりしている場合には注意が必要です。
壁を叩いてチェック
お隣の方が不在であれば、内見時に壁を軽く叩いてみると壁の密度が確認できます。密度が高ければ音は響きにくいですが、密度が低いと音や振動が響きやすくなります。また、内見時にお隣の方がいる場合は、壁に耳を当てて隣の音がどのくらい聞こえるのか確認してみましょう。足音や話し声、テレビの音などが聞こえてくる場合は、ちょっとした生活音でも周囲に漏れる可能性があります。
静かな環境を選ぶ
静かな環境で生活したいという方は、部屋の防音性だけでなく、物件の周辺環境にも注意が必要です。特に、駅前や繁華街は人通り、車通りが多くなるため騒がしいでしょう。また、幼稚園や小学校が近い物件は、日中、子どもたちが外で遊ぶ声や、運動会の練習などで騒がしくなる時間帯があります。夜勤の方や、日中は家で静かに生活したい方には不向きな場合がありますので、内見時には物件の周辺環境を必ずチェックしておきましょう。
新しい物件を選ぶ(10年以内)
築年数が浅い物件は、新しい設備や技術が導入されているため、古い物件に比べて快適に生活できる可能性があります。たとえば、モニター付きインターホンが設置されていたり、追い焚き機能付きの給湯器が設置されていたりするケースもあります。
さらに、建物自体の防音性や耐久性が向上しているケースも少なくありません。理想は築10年以内ですが、新しい物件は家賃相場が高めなのでご自身の予算と合わせて検討してみましょう。
共用部をチェック
内見時には、アパートのエントランスや共用部分がキレイに保たれているか確認してください。共用部分にゴミが落ちていたり、ポストに郵便物が溜まったまま放置されていたりする物件は、住人のモラルやマナーが悪い可能性があります。騒音トラブルや住民同士のトラブルに関わる重要な部分であるため、共用部は必ずチェックしておきましょう。
自分でできる!軽量鉄骨アパートの防音対策
アパート自体の防音性を高めるのは難しいですが、部屋の防音性は自分で対策することができます。トラブルを未然に防ぎ快適に生活するために、これから紹介する防音対策をぜひ試してみてください。
- 遮音カーテンを設置する
- 家具の配置を工夫する
- 防音シートを使用する
- 家電の下には防振マット
- スリッパを履く
まずは、ご自身の生活に合ったものを取り入れてみましょう。
遮音カーテンを設置する
遮音カーテンは、特殊な素材や加工を施しているカーテンのことで、音を遮断し室内の音漏れや室外からの騒音を軽減する効果が期待できます。最近はデザインやカラーも豊富なため、お部屋のイメージにあったものを見つけることができるでしょう。ホームセンターやインターネット通販で購入できるため、気軽に取り入れることができます。
家具の配置を工夫する
音は空気によって伝わりますが、家具は音を吸収してくれるため、配置を工夫することで防音性を高めることができます。たとえば、壁から3cm程度の隙間を空けて家具・家電を設置したり、喋る方向やスピーカーの向きの対角線上に家具を設置したりするだけでも音を和らげることができます。また、家具と壁の間にダンボールを挟むというのもすぐに実践できる効果的な方法です。
防音シートを使用する
家具の配置を工夫しても不安が残る場合は、防音シートや防音パネルなど、防音性を高める専門商品を試してみるのもおすすめです。防音シートは、床、天井、壁、窓などに設置することができます。たとえば、床に設置した場合は、足音や物を落とした際の衝撃音を抑えることができます。
また、窓に貼るタイプの防音シートは、外からの騒音を防ぐことができます。防音シートにはシールタイプ、フェルトタイプ、パネルタイプなどがあるため、用途に応じて選ぶと良いでしょう。ただし、賃貸物件の場合は退去時に原状回復が必要となるため、壁や床を傷つけないよう注意が必要です。
家電の下には防振マット
冷蔵庫や洗濯機は稼働中に大きな音がするため、振動マットを敷いておくのがおすすめです。振動による音を防ぐだけでなく、床を傷つけないよう保護する効果もあります。素材や大きさ、色など様々な種類があるため、家電の大きさに合わせて選びましょう。
スリッパを履く
手軽な防音対策としてスリッパを履くのもおすすめです。スリッパなどの室内履きは衝撃を吸収してくれるため、下の階に伝わる足音を和らげてくれます。ただし、スリッパの種類によっては歩くときにパタパタと音がするため、素足で歩くより足音が大きくなる可能性があります。スリッパを選ぶときは、素材や形状、重量に注意して選びましょう。最近は、防音スリッパと呼ばれる吸音性の高いスリッパもあるため、こういったアイテムをうまく活用してみるのも良いでしょう。
まとめ
今回は「軽量鉄骨アパートはやめておけ!」と言われる理由について解説しました。軽量鉄骨アパートと聞くと、防音性に優れていると思う方もいるかもしれません。しかし、実際は木造アパートとほぼ変わらないため、防音性に優れているとは言えません。ただし、軽量鉄骨アパートはメリットも多いため、メリット・デメリットの両方を把握してご自身のライフスタイルに合った選択をすることが大切です。
近年は、快適な生活を送るために自分でできる防音対策グッズも増えています。ネガティブな意見にとらわれずに、気になる物件が見つかったらまずは内見してみましょう。本文中で紹介した内見時のポイントを参考にしながら、部屋探しを成功させてください。