熊本市不動産売却クイック査定です。
土地を相続したものの、活用方法や売却のタイミングに悩んでいる人も多いでしょう。土地は所有しているだけで、メンテナンスコストや税金がかかります。したがって、適切なタイミングで売却することが重要です。この記事では、相続した土地を売るタイミングや税金について、土地を売る手順などについて詳しく解説します。
目次
相続した土地を売るタイミングとは?
相続した土地を売る理由は、「活用方法がわからない」、「税金を払うのが大変」など、状況によって様々でしょう。売却するメリットとしては、税金控除を受けたり、固定資産税の負担が軽減されたりすることが挙げられます。一方で、経済的に余裕があれば、すぐに売却せず高値売却できるタイミングを待つのも選択肢の一つです。また、今後土地を活用する予定があれば、すぐに売却する必要はありません。
このように、土地を売るタイミングは人それぞれ異なります。そのため、自分に合った売却のタイミングを見極めることが大切です。
相続した土地をすぐ売却した方がよい場合
ここでは、「相続した土地をすぐ売却した方がよい場合」の例についてお伝えします。ご自身の状況と照らし合わせながら考えてみてください。
納税資金がない場合
亡くなった人(被相続人)から、お金や土地などを相続すると相続税が課せられます。相続税は、相続開始を知った日から10カ月以内に納税しなければなりません。しかし中には、「相続税を納める資金がない」という方もいるでしょう。そんな時は、土地を売却するのも有効な手段です。土地を売却すれば、まとまった資金が手に入るため納税資金に充てることができます。
なお、相続税は財産額に応じて税率が定められており、10%~最大55%まで課税されます。相続税の計算は複雑で難しいため、まずは以下のような早見表で大まかな納税額を把握するのがおすすめです。
総資産 | 法定相続人 | ||
---|---|---|---|
配偶者+子1人 | 配偶者+子2人 | 配偶者+子3人 | |
5,000万円 | 40万円 | 10万円 | なし |
6,000万円 | 90万円 | 60万円 | 30万円 |
7,000万円 | 1600万円 | 113万円 | 80万円 |
8,000万円 | 235万円 | 175万円 | 138万円 |
9,000万円 | 310万円 | 240万円 | 200万円 |
1億円 | 3850万円 | 315万円 | 263万円 |
相続税は税制改正によって変わる可能性があるため、詳しくは国税庁「相続税」をご確認ください。また相続税は、取得した財産(土地、株、現金など)の合計額が基礎控除額を超えた場合に課税されます。基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人)」で算出され、財産の合計が基礎控除額以下であった場合、相続税はかかりません。
遺産分割が難しい場合
土地などの不動産は、相続人が複数人いると公平に分割するのは難しいのが実情です。さらに、遺産分割は親族間でもトラブルに発展しやすいため注意が必要です。公平な遺産分割が難しいと判断したら、土地の売却を検討しましょう。土地を売却して現金化すれば、分割しやすくなります。またトラブルを防ぎ、相続をスムーズに行うためにも有効な方法と言えるでしょう。
土地を活用しない場合
「土地の活用予定がない」、「活用方法がわからない」という場合は、早めに売却を検討しましょう。土地は所有しているだけで税金と維持費がかかります。さらに、草刈りなど定期的なメンテナンスも必要です。空き地のまま放置しておけば、ゴミの不法投棄や野生動物の住処となり、近隣住民とトラブルになる可能性もあります。
一方、土地が売却できれば老後の資金や住み替え費用に充てることができます。相続した土地が不要であると判断したら、できるだけ早めに不動産会社へ相談するのが得策でしょう。
相続した土地をすぐ売却しなくてもよい場合
つぎに、「相続した土地をすぐに売却しなくてもよい場合」を確認していきましょう。相続した土地の売却で悩んでいる方は、ぜひ今後の参考にしてください。
納税してもよい場合
先述した通り、土地は所有しているだけで固定資産税や都市計画税などの税金が課せられます。また、相続する際は、相続税や譲渡所得税も考慮しておかなくてはなりません。
しかし、これらの税金を納める資金が十分にある場合は、急いで売却を行わなくてもよいでしょう。ただし、いつでも売却へ踏み切れるよう土地の査定を受けておくことをおすすめします。
遺産分割してもよい場合
相続した土地を複数人で共有している場合は、相続割合に応じて土地を公平に分割します。ただし、不動産は土地の場所や状況によっても価格が左右されるため、公平に分割するのは難しいのです。これらを踏まえた上で、問題なく分割できる場合はすぐに売却する必要はないでしょう。
なお、共有している土地を売却する場合は、全員の合意を得てから行う必要があります。勝手に自分の持分を売却してしまうと、トラブルになる恐れがあります。そのため、土地の活用方法については必ず相続者同士で話し合って決めましょう。
土地を活用する場合
将来的に土地を活用する予定があれば、売却を急ぐ必要はありません。土地は自宅を建てるだけでなく、駐車場として貸し出す、アパート経営をするなどの活用方法もあります。ビジネスとして土地を活用すれば、不労所得を得ることも可能です。
ただし、土地は用途地域によって建てられる建物の大きさや種類が制限されています。そのため、相続した土地がどのような土地で、どの地域に該当するのかあらかじめ調べておきましょう。また、都市開発によって今後土地の価値が上がる可能性もあります。なるべく後悔の少ない選択をするためには、土地の周辺環境や不動産市場をよく調べてから判断することが大切です。
相続した土地をすぐ売るメリット
相続した土地をすぐに売ると以下のようなメリットがあります。
- 固定資産税の負担が軽減される
- 取得費加算の特例が利用できる
- 空き家の場合は3,000万円控除を利用できる
ただし、上記には利用条件が設けられているものもあります。項目ごとに詳しく解説しますので、所有する土地と照らし合わせながら確認していきましょう。
固定資産税の負担が軽減される
まず、一つ目のメリットとして挙げられるのは、固定資産税の負担が軽減されることです。土地は毎年固定資産税が課税されますが、これは所有しているだけで納税義務があります。また、固定資産税は3年に一度見直しされます。そのため、資産価値が上がれば固定資産税も高くなるのです。最初は大きな負担に感じなくても、毎年納税して積み重ねていくと大きな金額になります。したがって、必要のない土地はすぐに売却して金銭的な負担を減らすことをおすすめします。
取得費加算の特例が利用できる
二つ目のメリットは、「取得費加算の特例が利用できる」ということです。取得費用加算の特例は、土地を売却したときの利益(譲渡所得)を計算する際、取得費に相続税を加算できる特例です。この特例を利用すれば譲渡所得が抑えられるため、結果的に譲渡所得税を軽減できます。ただし、この特例を利用するためには以下の要件を満たす必要があります。
- 相続や遺贈により財産を取得した者であること
- その財産を取得した人に相続税が課税されていること
- その財産を、相続のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
出典:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
ポイントは、「相続税の申告期限の翌日から3年以内に土地を売却する」という点です。さらに、「相続税を納税していなければいけない」という点にも注意しましょう。土地の売却は必ずしもスムーズにいくとは限りません。したがって、早めの行動がポイントとなります。
空き家の場合は3,000万円控除を利用できる
三つ目のメリットは、相続した土地に空き家があった場合、「3,000万円特別控除を利用できる可能性がある」という点です。3,000万円の特別控除とは、家を売却して譲渡所得(利益)が出た場合、最高3,000万円を上限として税金が控除される制度です。すなわち、譲渡所得が3,000万円以下であれば、納税する必要はありません。ただし、利用するためには以下の条件を満たす必要があります。
- 売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
出典:国税庁:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(一部抜粋)
上記に関しても、「相続開始があった日から3年を経過する年の12月31日まで」という期限が設けられています。つまり、早く売却することで優遇を受けられるということです。このように、相続した土地をすぐ売ることで金銭的な負担を軽減できる可能性があります。少しでも出費を抑えたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
相続した土地を売却したタイミングでかかる税金とは?
相続した土地を売却するとき、大きく分けて以下の3つの税金がかかります。
- 譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)
- 印紙税
- 登録免許税
では、それぞれがどのような税金なのか確認していきましょう。
譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)
土地を売却して譲渡所得(利益)が出ると税金が発生します。これを譲渡所得税といいます。なお、譲渡所得税は、所得税・住民税・復興特別所得税の総称です。譲渡所得は所有期間によって税率が異なり、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」に分類されます。
一方、住民税は居住している市町村や都道府県に納める地方税です。譲渡所得税と同様に土地を売却して利益が生じると住民税も課税されます。所得税と住民税の税率は下表の通りです。
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
長期譲渡所得(所有期間5年超) | 15% | 5% |
短期譲渡所得(所有期間5年以下) | 30% | 95% |
また、復興特別所得税は、2011年に発生した東日本大震災の被災者支援を目的とした税金です。所有期間に関係なく、基準所得税額の2.1%が課税されます。
印紙税
不動産売買契約書などの課税文書に貼付する「印紙」に課せられる税金を印紙税といいます。印紙税は取引する契約金額によって変動しますので、下表を参考にしてください。
文書の種類 | 契約金額 | 印紙税額 |
---|---|---|
不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書 | 100万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 | |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 | |
5,000万円を超え1億円以下 | 6万円 | |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
※令和6年10月時点
出典:国税庁「No.7140印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
登録免許税
土地を相続したら、被相続人から相続人へ名義変更を行います。登録免許税は、この手続きの際に課せられる税金のことで、土地の所有者を明確にするために重要な手続きです。なお、登録免許税の課税額は以下の計算式で算出されます。
- (土地の)固定資産税評価額×0.4%
相続登記の手続きは、相続人本人が行うことも可能です。ただし、専門的な知識が必要になるため、不安な方は司法書士に依頼したほうがスムーズでしょう。その場合、司法書士報酬が必要になります。報酬は司法書士によって異なりますが、5万円~10万円前後が相場です。
相続した土地を売る手順
土地の売却を決めたら、次のような流れで進めていきましょう。
- 土地の登記変更
- 不動会社に査定を依頼
- 不動産会社と契約
- 仲介手数料の支払い
- 土地の引き渡し
具体的な内容について項目ごとに解説します。
土地の登記変更
まずは、被相続人から相続者へ土地所有者の登記変更を行います。登記変更されていない土地は売却することができません。したがって、売却をスムーズに行うためにも、登記変更は必ず行いましょう。登記変更手続きは、内容が難しいため専門的な知識を持つ司法書士に依頼するのがおすすめです。
不動産会社に査定を依頼
登記変更をしたら、土地の相場や価値を知るために不動産会社の査定を受けましょう。ただし、不動産会社によって査定基準が異なります。そのため、複数の不動産会社へ査定依頼をして比較検討するのがおすすめです。
また多くの場合、査定依頼をした会社に土地の売却も依頼することになります。売却をスムーズに進めるためには、担当者の対応や会社の実績を見て信頼できる不動産会社に依頼することが重要です。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。媒介契約には、「一般媒介契約」・「専任媒介契約」・「専属専任媒介契約」の3種類があり、各契約の特徴は下表の通りです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
他社契約 | ◯ | ✕ | ✕ |
自己発見取引 | ◯ | ◯ | ✕ |
状況報告 | なし | 2週間に1回 | 1週間に1回 |
レインズへの登録義務 | なし(任意) | あり | あり |
それぞれの特徴を把握して、自分にあった媒介契約を選びましょう。なお、土地を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税を納めなくてはなりません。また、1月1日時点で土地を所有していた場合は、固定資産税が発生するため注意が必要です。
不動産会社によっては、相続登記や司法書士の紹介など、相続に関してトータル的なサポートを行ってくれる会社もあります。不動産取引に慣れていない人や不安な方は、媒介契約を締結する際に確認しておくと安心です。
仲介手数料の支払い
土地の買主が見つかったら売買契約を行います。不動産会社に対しては、買主を見つけてくれた報酬として仲介手数料を支払います。仲介手数料は法律で上限が決められており、計算方法は下表の通りです。
不動産の成約価格(税抜) | 仲介手数料の上限 | |
---|---|---|
200万円以下 | 5% | +消費税 |
200万超え、400万円以下 | 4%+2万円 | |
400万円超え | 3%+6万円 |
2024年7月1日、国土交通省は放置空き家の市場を促進するため、不動産業者が受け取る仲介手数料の特例制度を拡充することを決定しました。これによって、800万円以下の空き家取引における手数料上限が30万円に引き上げられました。なお、800万円を超える物件については、従来通り「物件価格の3%+6万円+消費税」が上限となります。
土地の引き渡し
売買契約が成立したら、買主に土地の引き渡しを行い売却は完了です。なお、土地を売却して譲渡所得があった場合、翌年確定申告が必要です。確定申告をする際は、売却にかかった費用(登記費用や仲介手数料など)を経費として計上できるため、領収書は大切に保管しておきましょう。
譲渡所得が出なかった場合には、原則確定申告の必要はありません。ただし、確定申告することによって損益通算され、所得税や住民税が抑えられる場合があります。
相続した土地をタイミングよく売る方法
相続した土地をタイミングよく売るためには、事前準備と早めの行動がポイントです。スムーズに売却を進めるために、これから紹介する3つのポイントと注意点を抑えておきましょう。
早めに登記手続きをする
土地を売りたいと思っても、名義が被相続人のままでは売却できません。したがって、相続登記の申請は早めに済ませておくのがポイントです。また、令和6年4月1日以降、相続登記は義務化されています。
相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料が課せられるため注意が必要です。
税金などかかる費用を確認する
先にお伝えしたように、不動産売買では税金、仲介手数料、司法書士報酬など様々な費用がかかります。予想外の出費に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、あらかじめどれくらいの費用がかかるのか把握しておくことが大切です。自分で調べるのが難しければ、不動産会社へ相談しておおよその費用を確認しておきましょう。
複数の不動産会社から選ぶ
不動産査定は、会社ごとに査定額が異なるため複数社に依頼をして比較検討しましょう。なお、査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類あります。机上査定は、物件情報や相場などを元に行われる簡易的な査定です。
一方、訪問査定は実際に物件を訪れて、物件や周囲の状況を見て行う査定です。そのため、訪問査定の方が精度の高い査定結果が得られます。また、訪問査定なら不動産会社の担当者と直接やりとりできるため不動産会社選びにも役立つでしょう。
まとめ
今回は、「相続した土地を売るタイミング」についてお伝えしました。相続した土地を早く売却すると、多くのメリットがあるのは事実。しかし、一番大切なのは、ご自身の状況や今後の意向を踏まえて慎重に判断することです。相続者が複数人いる場合は、全員で話し合いを行い、意見をまとめておくことが望ましいでしょう。
また、売却はスムーズにいくとは限りません。土地の売却に数年かかったというケースも珍しくないため、いつでも売却できるよう準備を整えておきましょう。なお、相続や土地売却に関する手続きは、専門的な知識が必要になることがあります。土地を相続したら、まずは不動産会社や司法書士など、知識を持った専門家に相談してみるとよいでしょう。