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敷金いくら返ってくる?割合は?不動産のプロが教える退去時の節約術

敷金いくら返ってくる?割合は?不動産のプロが教える退去時の節約術
 

熊本市不動産売却クイック査定です。

 

これから賃貸住宅を退去する際、「敷金がいくら返ってくるか」は多くの方が気になるポイントではないでしょうか。敷金は大きな額になるため、できるだけ多く返金されることを期待しますよね。しかし蓋を開けてみると敷金がほとんど戻らず、泣き寝入りをしたり、貸主とトラブルになったりするケースも少なくありません。

 

本記事では敷金の返還割合と返ってこない場合の理由、そしてトラブルを避けるための対処法についてわかりやすく解説します。敷金に関する基本的な知識を身に着けて、納得いかないときは自分で適切な対応をとれるようにしておきましょう。

 

敷金って返ってくる?返ってこない?割合について

敷金って返ってくる?返ってこない?
最初に基本的な考え方を整理すると、敷金とは入居時に貸主に預けるお金のことです。退去する際は貸主が敷金から修繕費用を支払い、残りの金額が借主に返還されます。家賃の1〜2カ月分程度が相場になります。

 

敷金と似ている用語として、礼金があります。礼金は借主から貸主へのお礼として支払うお金で、返金されることはありません。敷金と礼金は混同しやすいので、注意しましょう。

 

リクルート住宅総研の調査によると、東京の敷金返還率は以下のとおりです。

 

敷金返還率 回答者の割合
100% 12.2%
50%~100%未満 41.3%
50%未満 15.5%
なし(0%) 31.0%

出典:リクルート住宅総研「NYC,London,Paris&TOKYO賃貸住宅生活実態調査」

 

最も多いのが50%〜100%未満で返還されたケース、次に多いのが全く返ってこなかったケースです。それらに比べて、全額返金されたケースは12.2%と少数派です。敷金返還率の平均を求めても、42.3%と意外と少ないことがわかります。

 

敷金!退去時に返ってくる金額はどれぐらい?

退去時に返ってくる敷金は、どれくらいになるのでしょうか?返金額の相場や返金されるタイミングについて解説します。

 

返ってくる金額(相場)

敷金返還率の平均42.3%を使って、退去時に返ってくる金額をシミュレーションしてみましょう。

 

敷金の金額 退去時の返金額
5万円 2万1,150円
10万円 4万2,300円
15万円 6万3,450円
20万円 8万4,600円

 

上記のように家賃の半分近い金額が返ってくると、家計的にも助かりますよね。引っ越し費用や新居の家賃、生活費などに充てることができます。

 

返ってくるのはいつ?

通常は退去後2カ月以内に敷金が返還されることが多いです。退去から敷金が返還されるまでの流れは以下のとおりです。

 

  • 退去立会い
  • 敷金精算書が届く
  • 敷金返還

 

退去立会いから敷金精算書が届くまでの期間は、通常1カ月以内です。ただし場合によっては貸主側の処理に時間がかかり、2カ月程度経過してから届くケースも。1カ月経っても届かない場合は、念のため契約書の敷金返還期限を確認します。期限を過ぎそうな場合は、貸主や管理会社に確認したほうが良いでしょう。

 

そして敷金精算書が届いてから1カ月以内に、敷金が返還されます。敷金精算書は退去時に貸主が作成する書類で、敷金から差し引かれる修繕費の内訳や、敷金の返金額が記載されています。

 

敷金が返ってこない!その理由とは?

敷金が返ってこない!その理由とは?
敷金が返ってこない理由は、簡単にいえば修繕費がかかるからです。具体的には、以下のような理由で返ってこないことが多いです。

 

  • 汚れがある
  • 特約事項が記載されている
  • 契約書にハウスクリーニング明記されている

 

それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

 

汚れがある

よくあるのが、退去時に汚れが見つかり、その修繕費用のせいで敷金が返ってこないケースです。

 

国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」において、借主の故意や過失によって生じた通常の使用範囲を超える損耗については、借主が修繕費を負担するものとしています。一方で、経年変化や日常使用による損耗については、賃料に含まれるべきとしています。

 

たとえばペットがつけた壁紙の汚れや、喫煙による壁紙の変色は、通常の使用範囲を超える損耗とみなされ、敷金から修繕費が差し引かれることが多いです。反対に、日焼けによる壁紙の変色や家具の設置跡などは、生活していれば自然に起こる現象とされ、修繕費用は請求されないことが多いです。

 

とはいえ、どこまでを経年変化とするかは、貸主によって判断が分かれるところです。入居時の状態を写真に残しておくと、後で経年変化であることが証明しやすくなることもあります。

 

特約事項が記載されている

賃貸借契約書に記された特記事項の内容によっては、経年変化とみなされる損耗も修繕費用を請求されるケースがあります。特記事項とは、特別に記しておくべき重要事項のことです。もし特記事項の内容が契約書の条項と相反する場合は、基本的に特記事項の内容が優先されます。

 

たとえば、壁紙の張替え費用を借主に負担させる特記事項です。他にも、極端なケースでは「借主が修繕費を負担する」「貸主は修繕義務を負わない」といった一方的な条項が盛り込まれている場合もあります。

 

特記事項をよく確認しないまま契約を結んでしまうと、その内容に同意したとみなされてしまいます。入居時には全く気付かず、退去時に初めて気づいて後悔するケースも。借主に不利になるような特記事項がないか、締結前に必ず確認しましょう。

 

契約書にハウスクリーニング明記されている

契約書に「ハウスクリーニングの費用を借主が負担する」と書かれているケースもあります。ハウスクリーニングとは、退去時に専門業者が室内を清掃するサービスで、キッチンや浴室、床などの全体的なクリーニングが含まれます。

 

費用相場は、一人暮らし用の物件でおよそ2万円〜4万円程度。部屋が広くなるほど金額も上がり、3LDK以上のファミリー向け物件では7.5万円〜10万円程度かかることも。敷金から差し引かれる修繕費のなかでも、ハウスクリーニングは大きな割合を占めます。

 

繰り返しになりますが、既に締結済みの契約書に対して、後から異議を唱えるのは難しい場合もあります。締結する前に内容を確認し、納得いかない点があれば事前に交渉しておくことが大切です。

 

敷金が返ってこない!対処法について

敷金が返ってこない!対処法について
納得いかない修繕費を請求され、敷金が戻らなかった場合は、適切な対処が求められます。
ここからは代表的な対処法として、以下の2つをご紹介します。

 

  • 内容証明郵便を送る
  • 少額訴訟

 

それぞれの対処法について、具体的な手順や注意点を詳しく解説します。

 

内容証明郵便を送る

敷金の返還を求める対処法の一つとして、内容証明郵便を送る方法があります。内容証明郵便は、いつ・だれが・どのような内容の文書を送ったか、郵便局が証明してくれるサービスです。借主と貸主の間で「言った言わない」のトラブルを防ぐ効果があります。

 

この文書は法的な証拠として残ることから、裁判に発展した場合にも活用することが可能です。弁護士など専門家を代理人として立て、その人の名義で送ることで、相手にプレッシャーを与えることもできるでしょう。

 

内容証明郵便はただ書けば良いというものではなく、細かなルールが存在します。たとえば1枚あたりの文字数制限があるほか、割り印の押印や文書の3通作成(相手用・自分用・郵便局保管用)が必要です。

 

法的な効力を発揮させるために、ルールをしっかり確認しましょう。場合によっては、弁護士など専門家の力を借りることもおすすめします。

 

少額訴訟

内容証明郵便を送っても効果がなかった場合、敷金返還を求める次の対処法として少額訴訟があります。少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求めるケースに限り利用できる、特別な訴訟手続きです。

 

原則として1回の審理で判決が下され、訴訟の途中で話し合いによる和解に至るケースもあります。弁護士を立てる必要がなく、訴訟費用も数万円と低コストです。

 

ただし少額訴訟にあたっては、証拠や証人を揃えておく必要があります。また、訴訟である以上、必ず勝てるとは限りません。

 

とはいえ、話し合いで解決が難しい場合において、少額訴訟は敷金を取り戻すための現実的な手段のひとつです。

 

敷金を返金してもらう確率を上げる方法

敷金を返金してもらう確率を上げる方法
入居時からの心がけによって、敷金が返ってくる確率を上げることができます。具体的な方法は、以下のとおりです。

 

  • 部屋をキレイに使う
  • 同じ賃貸に長く住む
  • 退去のとき立ち会う

 

それぞれの方法について、詳しく解説します。

 

部屋をキレイに使う

敷金から差し引かれるのは、お部屋の修繕費です。ということは、キレイに使っていれば、修繕費を軽減でき、結果として敷金が多く返ってくることになります。

 

普段から家中を丁寧に掃除をすることは、お部屋をキレイに使ううえで重要です。特にキッチンは油汚れがたまりやすく、水回りはカビや水垢が大敵になります。長い間これらの掃除を怠ると、自分の力では落ちなくなってしまうおそれがあるため注意しましょう。

 

また、退去前に掃除することは、退去の立ち会いでキレイな印象を与えられます。面倒臭がらずしっかりと手間をかけると、効果的なアピールポイントになるでしょう。

 

同じ賃貸に長く住む

入居期間が長いほど、経年変化による損耗が認められやすくなる可能性があります。実際のところ、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、建物や設備の経過年数が多いほど借主の負担割合を減少させる考え方を採用しています。

 

これにより、修繕費として敷金から差し引かれる額が少なくなる可能性があります。契約書の特記事項には注意しつつ、長期的な入居を前提として物件を選ぶことが、敷金を多く返してもらうポイントになります。

 

ただ、長く住む場合も、キレイに使うことは大前提です。故意や過失による損耗や通常の使用範囲を超える損耗は、修繕の負担を求められるため、丁寧な暮らしを心がけましょう。

 

退去のとき立ち会う

敷金をめぐるトラブルを回避するために、退去時は必ず立ち会いましょう。退去時の立会いでは、貸主や管理会社が来て部屋の状況を確認します。

 

この場に立ち会うことで、双方の認識をすり合わせることができます。たとえば壁の汚れを指摘された際、入居時に撮っておいた写真を見せて「もともとあった汚れです」と主張することも可能です。直接話し合いをすることで、不当な修繕費を請求されるリスクは減るでしょう。

 

引越し前後は慌ただしく、立ち合いに時間を取るのが難しい方も少なくありません。しかし後々のトラブルを防ぐために必要なプロセスと認識して、時間を惜しまず参加することが重要です。

 

敷金が「返ってくる」「返ってこない」口コミを紹介

ここからは敷金が返ってきた人と返ってこなかった人の口コミを紹介します。

 

敷金が返ってきた人の口コミ

 

  • 敷金が無事に返還されたので、部屋を綺麗に使っていた自分へのご褒美として、ネイルサロンを予約しました。
  • 先日引越しをしたんですが、掃除を頑張ったおかげで敷金が全額戻りました。
  • 前居の清算が終わったと連絡を受け、敷金が返ってきました。敷金+αで支払わないといけないかと不安でしたが、大丈夫でした。
  • 敷金が全部返金されました。「とても綺麗に住んでくれてますね」と褒められました。

 

敷金が返還されるかどうかは、やはり綺麗に使っているかどうかが重要なポイントです。日頃からの清掃に加え、退去時の清掃に力を入れたほうが良いでしょう。

 

敷金が返ってこなかった人の口コミ

 

  • 本日、前居の退去に立ち会ってきました。 ハウスクリーニングとエアコンのクリーニング費用が、合計62,700円でした。 引っ越しに伴う費用が高額で、お金がありません。
  • 入居時に預けていた敷金は戻ってきませんでした。 一部でも戻ってくることを期待していただけに、残念な気持ちです。
  • 敷金が返ってくるかと思っていたら「次の入居者のためにハウスクリーニングをするので」という理由で敷金が返ってきませんでした。
  • 部屋が汚れていたから敷金は1円も返ってきませんでしたし、追加で7,000円請求されました。
  • 敷金の返還はありませんでしたが、過度な交渉でトラブルになることを避けたく、結果的には深く追及せずに済ませてしまいました。

 

敷金が返還されず、泣き寝入りをしている人は少なくないようです。ハウスクリーニング料金が敷金から支払われているケースが多く、さらに追加で費用を請求されるケースも見受けられました。

 

まとめ

敷金の返還される割合は、50%〜100%未満というケースが多いです。部屋が汚れていたり、退去時の修繕費負担に関する特記事項が盛り込まれていたりする場合は、注意が必要になります。

 

もし敷金の返金額に納得いかない場合は、内容証明郵便や少額訴訟といった対処法が有効です。しかし最も有効なのは、入居時から綺麗に住むことです。日頃のちょっとした心がけで、返ってくる敷金が大きく変わる可能性があります。

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