住んでいた家を売却して、新居へ引っ越すことを「住み替え」といいます。住み替えは、旧居が売却できてから新居へ引っ越す方法が一般的です。そのため、家が売却できなければ引っ越しもスムーズにいきません。実際に、「引っ越したいのに家が売れない」と困っている人が多いのも実情です。そこで今回は、家が売れない理由や売れない家の特徴について解説します。また、家が売れないときの具体的な対処法についてもお伝えしますので、家が売れなくて悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
目次
家が売れる平均日数はどれぐらい?
公益財団法人東日本不動産流通機構の調査によると、首都圏では家が売却できるまでに以下の日数がかかると報告しています。
成約に至るまでの平均日数 | |
---|---|
中古戸建て | 81.2日 |
中古マンション | 71.4日 |
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」
これは、あくまでも首都圏のデータです。売れるまでの日数は、地域や物件の状況によって大きく変動するため、2、3ヶ月経っても売れないからといって焦る必要はありません。また、戸建てに比べてマンションの方が売れやすい傾向にあります。
これは、マンションの耐用年数が長さや、利便性の良さなどが影響しています。家が売れるまでの平均期間は一般的に3~6ヶ月程度と言われています。したがって、6ヶ月を過ぎてもなかなか動きがなければ対策を検討しましょう。
引っ越したいのに家が売れない理由とは?売れない家の特徴など
家がなかなか売れないのには、何らかの理由があると考えられます。売れない家の特徴についてまとめたので、ご自身の状況と照らし合わせながら確認していきましょう。
- 売出価格が高い
- 立地条件が悪い
- 外観や内観の見た目が悪い
- 間取りの使い勝手が悪い
- 築年数が古い
- 駐車場がない、または狭い
- 販売時期が悪い
- 不動産会社が売却に力を入れていない
当てはまるものはありましたか?具体的な内容について項目ごとに解説します。
売出価格が高い
まず、最初に考えられるのは「売出価格が高い」ということです。売出価格は、売主が自由に決めることができます。ただし、「できるだけ高く売りたい」という理由だけで相場よりも売出価格を高くを設定するのは要注意。不動産売買では、販売価格が非常に重要であるため、安易に価格設定をすると売り逃しにつながります。
また、価格が相場より高いと検討候補から外されやすく、購入希望者が興味を持つ機会を減らしてしまいます。一方で安すぎる物件も疑念を抱かせたり、住宅の品質を疑われたりする可能性があります。売出価格を決めるときは、近辺の類似物件と比較しながら適正価格で売出すことを意識しましょう。
立地条件が悪い
立地条件は、通勤・通学や日常生活の移動に大きく影響するため、家を選ぶうえで非常に重要な要素の一つです。駅やバス停まで遠い、交通の便が悪いなど、アクセスが不便な立地は、購入を検討するうえでマイナスポイントになります。したがって、立地条件が悪い家は売れにくいと言えます。
一方、不動産は、地域のイメージや治安の良さなども影響します。立地条件が悪くても、閑静な住宅街や歴史のある地域(鎌倉、浅草、京都など)である場合は好まれる傾向にあります。
外観や内観の見た目が悪い
家は見た目も重要で、外観の劣化が激しい、雑草が生い茂っている、水回りが汚い、クロスが黄ばんでいるなど、見た目が悪いと思うように売却は進みません。売主にとっては「古家」かもしれませんが、購入希望者にとっては「新居」です。そのため、なるべくキレイで生活感が少ない方が、興味を持ってもらいやすいでしょう。
また、実際はそれほど汚れていなくても、写真で見ると印象があまりよくないこともあります。近年は、インターネットで物件探しをすることが主流であるため、物件写真は反響に大きく関わります。現在家を売出し中であれば、自宅がどのようにインターネット上で公開されているのか確認してみましょう。
間取りの使い勝手が悪い
購入希望者の需要に合わない間取りは、売れにくい傾向にあります。たとえば、2LDKの間取りは、単身者には部屋が多すぎてしまい、反対に4人以上のファミリー世帯には部屋が少なすぎてしまいます。したがって、ターゲットは2人暮らし、または3人家族に限定されます。間取りの使い勝手に関しては個人差もありますが、特殊な間取りや使い勝手が悪い間取りは売れにくいと言えるでしょう。
築年数が古い
築年数が古いことも売れない理由として挙げられます。戸建て住宅は、築10年を経過すると価値が下がると言われています。さらに、築25年を超えると売却の成約率はどんどん低下していきます。家を解体して更地にするという方法もありますが、古屋を解体するには数十万円~数百万円の解体費用が発生します。
買主にとっては経済的な負担が増えるため、マイナスポイントになるでしょう。このような理由から、築年数が古い家は売却がしにくく、空き家問題が深刻化する一つの要因とも考えられています。
駐車場が無い・または狭い
首都圏では、3階建ての狭小住宅も珍しくないため、駐車場がない家や駐車場があっても軽自動車1台分ほどのスペースしかない家も頻繁に見られます。しかし、地域や立地によっては車が無いと生活できないエリアも数多くあります。特に、地方では公共交通機関が整備されていない場所も多く、車がないとそのような地域では、駐車場がない、また駐車場が狭い家は売れにくいでしょう。
販売時期が悪い
早期売却を目指すためには、家を販売する時期にも気を付けなければなりません。不動産の繁忙期は、一般的に1月下旬から3月頃と言われています。これは、新年度や新学期に合わせて家探しを始める人が多いためです。一方、4月以降は購入者の動きも落ち着いてきます。次に忙しいのは、9月、10月の秋頃です。この時期は、人事異動を行う会社が多いためそれに伴う転居が増えます。
これらを踏まえると4月頃に売出した物件は、タイミングが悪く売れていない可能性もあります。販売時期が悪かったと心当たりがあれば、焦って価格を下げずに一度繁忙期を待ってから判断すると良いでしょう。
不動産会社が売却に力を入れていない
売出価格も適正であり、見た目も問題ない、にも関わらず家が売れないのは、不動産会社に以下のような原因があるかもしれません。
- 宣伝活動が不十分である
- 販売戦略を立てていない
- 囲い込みをしている
では、それぞれの内容について解説します。
宣伝活動が不十分である
売却を成功させるためには、家をアピールする魅力的な広告文や、熱心な宣伝活動が必要不可欠といえます。広告の例えで言うと、「駅徒歩10分以内」「◯畳の広々リビング」「ペット飼育可」「南向きで陽当り良好」など、物件の特徴がわかりやすいキャッチコピーが効果的です。また、不動産会社の担当者が他社へ営業したり、チラシをポスティングしたり、熱心な宣伝活動も必要です。
販売戦略を立てていない
不動産会社に売却依頼をするときは、媒介契約を締結します。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれの特徴は下表の通りです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
契約可能な不動産会社数 | ○ | ✕ (1社のみ) |
✕ (1社のみ) |
自己発見取引 | ○ | ○ | ✕ |
契約期間 | なし | 3カ月 | 3カ月 |
レインズ登録義務 | なし | 7日以内 | 5日以内 |
業務の報告義務 | なし | 2週間に1回 | 1週間に1回 |
媒介契約の種類によって不動産会社の対応が異なる場合があります。特に、「一般媒介契約」は、売主が複数の不動産会社へ売却を依頼することができるため、熱心な販売活動が行われないこともあります。不動産会社から、具体的な販売戦略が提案されていない、定期的な状況報告がない、半年以上経っても動きがない場合は、不動産会社を変えるか媒介契約の種類を変更するのも有効な方法です。
囲い込みをしている
囲い込みが疑われる場合、売主は大きな不利益を被るため注意が必要です。囲い込みとは、不動産会社が売主と買主から仲介手数料を得るために、物件情報を市場に公開しない行為のこと。つまり、他の不動産会社はその物件が売り出されていることがわからず、購入希望者に紹介することができません。
その結果「家が売れない」という状況に陥ります。囲い込みは売主にとっては損しかありません。怪しいと感じたら、不動産会社に「登録用証明書」を発行してもらい、不動産流通システムに情報掲載しているか確認しましょう。
引っ越したいのに家が売れないときの対処法
ここまで売れない家の特徴についてお伝えしましたが、当てはまるものがあったとしても諦める必要はありません。引っ越したいのに家が売れなくて困っている方は、以下の方法を取り入れてみてください。
- 売出価格を安くする
- 売却の時期を変える
- ハウスクリーニングする
- 広告を見直す
- ホームインスペクションを活用する
- 不動産会社を変える
- 不動産買取業者に売る
項目ごとに具体的な内容について解説します。
売出価格を安くする
「問い合わせが少ない」「内覧希望者が来ない」という状況が続く場合、相場より売出価格が高い可能性があります。まずは、以下の方法で物件の相場を確かめてみましょう。
- 同じエリアの類似物件と比較する
- 類似物件の成約価格を確認する
- 最初にもらった査定額を改めて確認する
これらの確認を経て、売出価格が相場より高い場合や、物件の条件が需要に見合っていない場合は、売出価格を下げましょう。ただし、一度価格を下げてしまうと、変更前の価格に戻すことは原則できません。したがって、売出価格を下げるときは不動産会社とよく相談したうえで判断しましょう。
売却の時期を変える
先にお伝えしたように、不動産には売れやすい時期があります。売却を急いでいない方は、売却時期を見直してみるのもおすすめです。1年の中で最も不動産が売れやすくなるのは、2月~3月です。4月から新生活に合わせて引っ越しを検討する人も多いため、この時期に間に合うよう売り出すと売れやすくなります。
ハウスクリーニングする
物件の印象をよくするためには、ハウスクリーニングがおすすめです。特に汚れが目立ちやすい、キッチン、トイレ、浴室などの水回りは、プロに依頼することで新築のような仕上がりになります。生活感が強く出過ぎている物件は売れにくい傾向にあるため、ハウスクリーニングを利用して清潔感をアピールしましょう。
広告を見直す
内覧希望者が少ないときは、広告内容に問題があるかもしれません。たとえば、物件の情報が不足している、写真写りが悪い、物件の魅力が伝わらないなどが考えられます。広告を出すときはターゲット層を明確にして、興味を持ってもらえるような内容を記載することが大切です。まずは、物件がどのように掲載されているか見てみましょう。そこで上記に該当するようであれば、広告の見直しを検討しましょう。
ホームインスペクションを活用する
ホームインスペクションとは、簡単に言うと中古住宅の住宅検査のことです。建築士やホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場から住宅に欠陥がないか診断します。自宅の売り出し前にホームインスペクションを実施することで、建物のコンディションを把握し、安心して取引を行うことができます。
また、「あとどれくらい住めるのか」「いつごろ、どこに不具合が出るのか」など、詳しい状況を把握することができるため、購入希望者に安心感を与える効果も期待できます。
不動産会社を変える
不動産会社に問題があると思ったときは、思い切って不動産会社を変えましょう。実は、不動産会社にも得手不得手があり、売却が得意な不動産会社ばかりではありません。そのため、不動産会社の実績や事例から得意分野を調べて、売却が得意な不動産会社に依頼することで売れやすくなる可能性があります。
不動産買取業者に売る
不動産の売却方法は、「仲介」と「買取」があります。一般的な売却方法は「仲介」で、不動産会社に購入希望者を探してもらう方法です。一方、「買取」は不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法です。仲介に比べて、買取価格が安くなるというデメリットがありますが、査定額が付けば必ず買い取ってもらうことができます。そのため、売却にあまり時間をかけたくない方や、まとまった現金が必要な方には「買取」がおすすめです。
引っ越したいのに家が売れない場合!どうなる?
引っ越したいのに家が売れないと「どうなるの?」と焦ってしまう方もいるかもしれません。しかし、むやみに不安にならず、まずは家が売れないときのリスクを考えてみましょう。
- 金銭的な問題(新居の購入費など)
- 住宅ローンの審査が通らない
- 固定資産税の問題
- ローンと家賃の二重払い問題
- 家の管理費用など
これらのリスクを考慮しながら、今後の販売戦略を立てることが大切です。それでは、項目ごとに具体的な内容を見ていきましょう。
資金的な問題(新居の購入費など)
住み替えをする人の多くは、旧居を売却して得た資金で新居を購入します。これを「売り先行」といいます。しかし、思うように家が売却できなければ、新居を購入することができません。また、引っ越しの遅れにもつながるため、子どもの入学や急な転勤など、調整できない予定がある場合は注意が必要です。
住宅ローンの審査が通らない
旧居が売れなくても、ダブルローンを組めるくらい資金に余裕があれば問題ありません。ただし、旧居の住宅ローンが残っていると、新居の住宅ローン審査に影響が出る可能性があります。ダブルローンは、年収に占める年間返済額の割合である返済比率が高いため、審査が厳しく、金利が高いという特徴があります。
そのため、住宅ローンの審査に通らない人も少なくありません。ダブルローンを組む余裕がない場合は、なるべく早く売却できるよう戦略を立て直しましょう。
固定資産税の問題
旧居が売却できないまま新居を購入した場合、固定資産税の支払いが2件分になる可能性があります。固定資産税は、その年の1月1日時点で所有している不動産に対してかかります。したがって、旧居を所有している同年に新居を購入すると、固定資産税を2件分支払う必要があるため注意しましょう。
ローンと家賃の二重払い問題
家の売却がスムーズにいかないことで、賃貸物件へ引っ越さなくてはならないケースもあります。そうすると、住宅ローンと家賃の二重払いが発生するため家計への大きな負担となるでしょう。どうしても賃貸へ引っ越しが必要な時は、無計画での引っ越しは避け、目安を定めておくことが大切です。たとえば、「半年間売れなければ売出価格を下げる」、「3か月経ったら不動産買取を依頼する」などを検討しましょう。
家の管理費用など
住みながらの売却は、購入希望者の内覧対応をしなくてはなりません。購入希望者に好感を持ってもらうには、小まめに掃除をしたり、いらないものは処分したり、なるべく生活感を出さない工夫が必要です。しかし、小さなお子さんがいるご家庭は、日々家をキレイに保つだけでも大変でしょう。売れない期間が長ければ、その分、家を管理する手間が長引くため負担になりかねません。
また、住宅設備や瑕疵に関しても点検しておく必要があります。たとえば、雨漏れやひび割れの点検、シロアリ駆除、換気などが挙げられます。これらは手間だけでなく、コストがかかる可能性もあるためリスクは大きいと言えます。
引っ越したいのに家が売れない場合!注意点
家が売れないからといって、必ずしも行動に出る必要はありません。焦って行動したことが逆効果になる可能性もあります。特に、「空き家にする」、「リフォームする」、「解体する」これらの行動は要注意です。なぜ注意すべきなのか、それぞれの内容について解説します。
空き家にしない
家が売れないからといって、空き家状態にして放置するのだけは避けましょう。空き家を放置すると老朽化が進行する、損害賠償請求される恐れがある、など様々なリスクがあります。また、管理を怠り「特定空き家」に指定されれば、土地の固定資産税が増額されたり、強制的に解体されたりする可能性もあります。
そうなると、所有者は金銭的にも、体力的にも負担が増してしまいます。したがって、できる限り空き家にはせず、家の管理は怠らないようにしましょう。
リフォームしなくてもよい
「リフォームすれば買い手が見つかる」と考える人も多いですが、リフォームしたからといってすぐに売れるわけではありません。売主はよかれと思ってリフォームしても、近年は、古家を購入して自分好みにDIYしたいという人も増えています。購入者にはそれぞれの好みがあるため、必ずしもリフォームが売却につながるとは言えません。
また、リフォームするためには費用がかかります。リフォームしても売れなければ工事費用が無駄になったり、新居の購入費用が足りなくなったりする可能性もあります。したがって、売主判断でリフォームすることは避け、まずは売却を依頼している不動産会社に相談してみると良いでしょう。
解体しなくてもよい
建物が老朽化している場合、「解体して土地として売り出せば売却できるのではないか」と考える方もいるでしょう。しかし、空き家を解体したところで、土地に魅力がなければ売却できる見込みは薄いです。しかも、土地が売れ残れば、数百万円かかる解体費用が赤字になってしまうこともあるのです。
また、家を解体すると「住宅用地特例」という減税制度が利用できなくなるため、固定資産税が増額する可能性があります。したがって、売れないからといって安易に解体するのはおすすめできません。
まとめ
家がなかなか売れない場合、売出価格が高い、立地条件が悪い、建物が老朽化している、広告宣伝が不十分など、様々な原因が考えられます。記事の中でもお伝えしましたが、家が売れるまでの期間は一般的に3ヶ月~6ヶ月と言われています。ただし、これは物件の状況によって大きく変わるため、あくまでも参考程度に考えておきましょう。
また、売れない家の特徴についても解説しましたが、当てはまるものが多かったからといって焦る必要はありません。売却戦略を立て直したり、記事の中で紹介した対処法を実践してみたり、まずはコストをかけずに変えられることを試してみましょう。
「これ以上売却に時間をかけられない」、「すぐに現金が必要」という方は、不動産会社へ買取依頼するのも有効です。不動産買取であれば、なかなか買い手がつかない老朽化した物件でも買い取ってもらえる可能性があります。家が売れないからといって空き家にしたり、リフォームしたり、解体するのは避け、ご自身やご家族の状況に合った売却方法を検討しましょう。