熊本市不動産売却クイック査定です。
土地の売買を行う際は、不動産会社が仲介に入るケースが多いです。仲介を依頼すると、買主探しや契約書面の作成といったさまざまなサポートを受けられます。
一方で既に買主が決まっている場合、「仲介を挟まず個人間で直接売買できないか」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では土地の売買は個人同士でも可能なのか、個人間売買のメリット・デメリットを紹介します。
目次
土地の売買は個人間でも可能?
個人間で土地を売買することは可能です。法律的にも特に問題なく取引できます。
通常不動産取引を実施する際は、宅地建物取引主任者の資格が必要です。しかし個人間売買であれば、宅地建物取引主任者の資格を持っていなくても基本的に問題ありません。一度限りの取引や特定の人だけに対する取引は、宅地建物取引業法の制約から除外されるためです。
個人同士の土地売買は仲介手数料がかからないため費用の節約になります。一方で自分たちで契約書を作成する必要があるなど、手続きが煩雑化しやすいのが注意点です。不動産取引に関する正しい知識がないと、思わぬトラブルが発生する恐れがあります。
取引をスムーズに進めるには、当事者間がしっかりとコミュニケーションをとれることが大前提です。したがって取引の相手は、親子や知り合いなど親しい人を選ぶほうが望ましいです。
土地の売買!売却を個人で行う場合の手順
土地の売買において、売却を個人で行う場合は以下の手順で進めます。
- 土地の相場を調べる
- 必要書類を準備
- 売却価格を決める
- 買主を見つける
- 買主が見つかった場合!価格交渉
- 決済・土地の引き渡し
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
①土地の相場を調べる
まずは所有している土地がいくらで売れるのか、相場を調べます。
相場を調べる際は、「不動産情報ライブラリ」を活用する方法がおすすめです。不動産情報ライブラリは国土交通省が提供しているサイトで、不動産の取引価格情報を調べられます。
不動産情報ライブラリ
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
不動産情報ライブラリでは住所や時期を指定して、過去の取引価格を検索することが可能です。類似物件の取引価格を見れば、おおよその相場がわかります。
不動産情報ライブラリでは、公示価格を調べることも可能です。公示価格は、不動産鑑定士が全国2万6,000か所にある標準地を鑑定・評価をした結果に基づき決定されます。売り急ぎや買い進みなど特殊な事情を加味しない価格であるため、適正な相場を把握するのに役立ちます。
売却価格を決めるにあたっては、過去の取引価格と公示価格を両方チェックしておくのがおすすめです。
②必要書類を準備
個人同士の土地売買では必要書類をすべて自分で用意しなければなりません。入手するのに時間がかかる書類もあるため、前もって準備をする必要があります。
土地の売却で必要な書類は、以下のとおりです。
必要書類 | |
---|---|
登記簿謄本 | 土地の権利や面積などが記載された書類。抵当権設定の有無などを確認するのに必要 |
登記識別情報通知書または登記済証(権利証) | 登記名義人だけに通知される書類 |
売主の本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカードなど |
住民票 | 登記上の住所と名義人の現住所が異なる場合に必要な書類(発行から3カ月以内のもの) |
印鑑証明書 | 実印であることを第三者に証明できる書類(発行から3カ月以内のもの) |
確定測量図 | 境界が確定している場合に発行される実測図 |
筆界確認書 | 境界確定している場合に隣地所有者と交わす書類 |
越境の覚書 | 越境の有無や是正方法を確認するために隣地所有者と交わす書類 |
固定資産税納税通知書または固定資産税評価証明書 | 登録免許税の算定や固定資産税の精算のために必要な書類 |
土地を取得したときの書類 | 売買契約書・重要事項説明書など |
その他 | 抵当権抹消書類や地盤調査報告書など |
確定測量図や筆界確認書、越境の覚書は、売却後の境界トラブルを防止するために必要な書類です。もしこれらの書類を作成していない場合は、測量会社に依頼して作成することが望ましいです。
③売却価格を決める
先に調べた周辺相場を参考にしながら、土地の売却価格を決めます。仲介を依頼していれば不動産会社から売却価格の提案を受けられますが、個人間取引では自分で判断材料を集めて売却価格を決めなければなりません。
周辺相場よりも大幅に安い価格で売却すると、みなし贈与となってしまい贈与税が課される可能性が高いです。その場合は売却価格と時価の差額が贈与としてカウントされます。
贈与税には非課税枠があるため少額の贈与であれば問題ありませんが、土地は高額になるため税金の負担が大きいです。特に親子間で売買する場合は、みなし贈与にならないよう気を付けましょう。
また、買主が値下げ交渉をしてくる可能性を想定し、売却価格は周辺相場より若干高めに設定することをおすすめします。いくらまでなら値下げ交渉に応じられるかという最低価格も決めておきます。
④買主を見つける
売却価格を決めたら、買主を探します。個人間取引を成功させるためには綿密なコミュニケーションが必要になるため、信頼できる買主を探すことが重要です。まずは親族や知り合いなど親しい間柄の人に売却できないか、検討することをおすすめします。
それでも見つからない場合は、不動産マッチングサービスを利用してみるのも手です。不動産マッチングサービスとは、不動産を売りたい人と買いたい人を結び付けるサービスです。売主は自分で物件の登録や取引ができ、交渉もスムーズにおこなえます。
一口に不動産マッチングサービスといっても、空家付き土地を中心に取り扱っていたり、都心などエリアを限定していたり、サイトごとに特色が異なります。自分に合ったサービスを見つけましょう。
⑤買主が見つかった場合!価格交渉
買主が見つかれば、価格交渉に移ります。売却価格と合わせて契約条件のすり合わせもおこないましょう。
価格交渉では、周辺相場など客観的な数字を参考にしながら話を進めていくのが肝心です。根拠のない金額で交渉してもお互いに納得することは難しく、着地点がわからなくなってしまいます。
価格と契約条件に合意できたら、不動産売買契約を結びます。契約締結時に交わす売買契約書と重要事項説明書は、前もって作成しておくのがおすすめです。個人間取引では自分たちで契約書類を作成するため、抜け漏れや記載ミスがないかといったチェックに時間がかかります。
契約書を作成する際、売主は契約不適合責任に注意しましょう。契約不適合責任とは、契約書に明記されていない不具合が見つかった場合、売主に修繕や代金減額などの負担が発生するという民法上のルールです。たとえば売却する土地で地中埋設物が見つかっている場合、そのことを明記しないと契約不適合責任が生じる場合があります。契約書には土地に関する情報を漏れなく記載することが大切です。
⑥決済・土地の引き渡し
売買契約書を締結後、代金の決済と土地の引き渡しをおこないます。売主は買主からの入金を確認してから、契約書類などを引き渡す流れです。
決済・引き渡し後はすみやかに所有権移転登記申請もおこないます。登記手続きは自分で申請するか、司法書士に委任します。
所有権移転登記が完了したら法務局から買主に登記識別情報通知書が届き、取引完了です。
土地の売買!買取を個人で行う場合の手順
土地の売買において買取を個人で行う場合は、以下の手順で進めます。
- 欲しい土地を調べる
- 価格を調べる
- 売主に購入意思を伝える
- 価格交渉
- 決済・土地の引き渡し
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
①欲しい土地を調べる
欲しい土地のエリアや面積など条件を絞り込んでから、インターネットなどで土地の売り出し情報を調べます。
気になる土地が見つかるとすぐに買いたくなると思いますが、良い土地を買うためには一歩踏み込んだリサーチが必要です。なぜその土地が売れ残っているのか理由をチェックしましょう。
- 土地が売れ残っている場合、以下のような理由があると考えられます。
- 土地の形状が良くない
- 交通利便性が悪い
- 周辺環境が良くない
- 建築制限で新しい建物を建てられない
売れ残っている理由がわかったら、自分にとって妥協できるポイントなのかを考えます。「家を建てたいのに新しい建物を建てられない」など致命的なポイントがあれば、購入は見送ったほうが良いでしょう。
②価格を調べる
気になる土地が見つかったら、価格が適正であるか調べます。「不動産情報ライブラリ」を活用して、過去の類似取引事例や公示価格などと比較するのがおすすめです。
周辺相場をつかんでおくと、いくらまでなら値引き交渉できそうかというポイントもわかります。
③売主に購入意思を伝える
気に入った物件が見つかったとしても、すぐに購入を決めるのは禁物です。まず現地に足を運び自分の目で確認をおこないましょう。書類だけではわからない土地の状況が見えてくるはずです。もし境界トラブルを抱えていたり、地盤沈下を起こしていたりすると、後々トラブルに発展する恐れがあります。
現地で確認しておきたいポイントは、主に以下の5つです。
- 境界線や越境物に問題はないか
- 地盤沈下や液状化現象を起こしていないか
- 前面道路に対して接道義務を満たしているか
- ガス・水道・電気などインフラ設備が引き込まれているか
- 周辺環境は良好か
わからない点があれば、売主にしっかりと確認するようにしましょう。現地確認をおこなったうえで納得できれば、売主に購入意思を伝えます。
④価格交渉
次に価格交渉をおこないます。個人間取引では売主と買主双方が不動産取引には慣れていないことがほとんどであるため、より慎重な価格交渉が求められます。
無理な値引き交渉をすると、売主は気分を害してしまう可能性が高いです。売主から取引を断られた場合、価格交渉どころか取引自体が白紙になってしまいます。
売主の意思を尊重しながら、双方が納得できる決着点を探っていきましょう。そのうえで価格や契約条件などを定めた売買契約書を締結します。
⑤決済・土地の引き渡し
最後に土地の代金を支払い、引き渡しを受けます。代金をどのように支払うかは、売主とよく確認しておきましょう。
決済・引き渡しが完了したら、すみやかに所有権移転登記の申請をおこないます。所有権移転登記の費用は、買主が負担するのが一般的です。登録免許税や司法書士報酬など登記申請に必要な費用を、予算に組み込んでおく必要があります。
土地売買を個人で行う3つのメリットについて
個人で土地売買を行うと、以下のメリットがあります。
- 不動産会社に仲介手数料を払わなくてよい
- 日程など自分で調整可能
- 取引の制約がない
①不動産会社に仲介手数料を払わなくてよい
個人同士の土地売買では不動産会社を介さず直接取引するため、仲介手数料がかかりません。
不動産会社に仲介を依頼する際にかかる仲介手数料は、以下のとおり上限額が定められています。
売買価格 | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格×5%+消費税 |
200万円超400万円以下 | 売買価格×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 売買価格×3%+6万円+消費税 |
例えば土地を1,000万円で売った場合、「1,000万円×3%+6万円+消費税=39.6万円」を上限額として仲介手数料がかかります。これが個人間の土地売買の場合、仲介手数料が0円になるため大きな節約です。
②日程など自分で調整可能
個人間の土地売買は、日程調整がしやすいというメリットもあります。
土地の売買では、現地確認・契約・引き渡しなどの日程調整が必要です。不動産会社に仲介してもらう場合は、不動産会社・売主・買主の三者で日程調整しなければなりません。
個人同士の土地売買は売主と買主の都合を合わせるだけで良いため、日程調整の負担が少なくて済みます。特に親族や知り合いが取引相手であれば、日程を合わせやすいでしょう。
③取引の制約がない
不動産会社が仲介に入る取引と比べて、個人同士の取引は制約を受けにくい点もメリットです。
不動産会社に仲介を依頼する場合は、どのような制約があるのでしょうか。たとえば媒介契約による制約です。専属専任媒介契約を結ぶと、不動産会社1社にしか仲介を依頼できなかったり、自分で買主を探せなかったり制限を受ける可能性があります。
自由に土地を売買したいという方は、個人間の売買が向いているでしょう。
土地売買を個人で行う4つのデメリットについて
土地売買を個人で行う場合は、以下のデメリットに注意しなければなりません。
- 買主を自分で見つけるのは大変
- トラブルなど自己負担
- 時間がかかる
- 金融機関との取引が不利になる
①買主を自分で見つけるのは大変
個人間の土地売買では、自分だけの力で買主を探さなければならず大変です。
親族や知り合いなどが買ってくれる場合は、問題ありません。
しかし一から買主を探す場合は、不動産会社に依頼するよりも時間と労力がかかります。必要に応じて不動産マッチングサービスなども活用し、効率的に探す方法を検討しましょう。
②トラブルなど自己負担
個人同士の取引においてトラブルが発生した場合、すべて自己責任で対処しなければなりません。
特に書類の内容に不備があると、後々トラブルが発生しやすいです。重大な不備があると裁判に発展するケースもあるため、ミスがないように書類を作成することが肝心です。
しかし売買契約書や重要事項説明書を作成するのは、専門的な知識が不可欠であり簡単な作業ではありません。不動産に関する知識を習得したり、弁護士・司法書士など専門家に相談できる体制をつくったり、入念な準備が必要になります。
トラブルを回避したい場合は、土地の売買に慣れている不動産会社に依頼するのが確実です。
③時間がかかる
個人間の土地売買は時間がかかる点もデメリットです。通常土地の売買は4〜6カ月かかりますが、個人取引ではさらに長い時間を要する場合もあります。
売却の場合はなかなか買い手が現れず、1年以上売れ残ってしまうケースも少なくありません。もし買い手が現れても、内見・契約・引き渡しなど一つひとつの工程に時間がかかります。
④金融機関との取引が不利になる
個人間取引の場合、金融機関が融資を嫌がる可能性もあります。その理由としては、個人間の土地売買は不動産会社のような第三者がおらず、取引の実態が見えにくいためです。
さらに個人同士の取引では重要事項説明書がない場合も多く、担保の対象となる物件の情報が不足していることも理由として挙げられます。
買い手がローンで土地を購入しようとしている場合、金融機関の審査がおりない限り売買は成立しません。このような事態を想定し、買い手側がしっかりと資金計画を練っておく必要があります。
土地の売買を個人間で成功させる方法
個人同士の土地売買を成功させる方法は、以下の2つです。
- 専門家に相談してみる
- 不動産一括査定サイトを使ってみる
それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
専門家に相談してみる
不動産会社など専門家に相談することで、土地売買のリスクを大幅に軽減できます。
個人間取引でトラブルの元となるのが、売買契約書や重要事項説明書などの書面の抜け漏れや記載ミスです。不動産会社に書類作成を頼めば、専門的な知識や実務経験を活かしてミスなく手続きを進めてくれます。
また個人間取引は、相当な手間と時間がかかる点がデメリットです。仲介手数料を取引成功のための必要経費と捉えて、不動産会社の協力を得たほうがメリットが大きいという考え方もあります。
自分たちで書類を作成したいという場合は、専門家によるリーガルチェックを受けることをおすすめします。リーガルチェックは宅建士や行政書士、弁護士などに依頼することが可能で、法的な問題点がないか確認してもらい、的確なアドバイスを受けられるでしょう。
不動産一括査定サイトを使ってみる
個人の土地売買を成功させるためには、適正価格の把握が欠かせません。先述のとおり不動産情報ライブラリを確認することも重要ですが、合わせて不動産一括査定サイトも活用すると良いです。
不動産一括査定サイトは、手軽に利用できる点がメリットです。インターネット上で土地の情報を入力するだけで、一度に複数の業者から査定結果を受け取れます。サイトによっては、メールで結果を知らせてもらうことも可能です。
一方で簡易的な査定だけでは正確性に欠けるという注意点もあります。一括査定サイトで得られた結果は、おおまかな目安として利用するのがおすすめです。より正確な査定を出してもらいたい場合は、査定してもらった不動産会社に相談するのも一つの手段です。
まとめ
個人間で土地売買をすることは可能です。仲介手数料を節約できる点や、日程調整しやすい点がメリットとして挙げられます。媒介契約などの制約を受けないことから、親族など親しい相手と自由に取引したいという場合に向いています。
一方で個人同士の取引では不動産会社のサポートがないため、トラブルが起こりやすい点に注意しなければなりません。手続きの負担が大きく、長い時間を費やすことが予想されます。手間なくスピーディーに土地を売買したい場合は、専門家に相談したほうが円滑に進められるでしょう。